\( y^{”} + y = 0\) や \(y^{”} – y = 0\) を脊髄反射によらずにシステマティックに解く。(面倒だけど,このように解けるということで。)
\( y^{”} + y = 0\) を脊髄反射によらずに解く
\( y^{”} + y = 0\) の両辺に \(2y’\) をかけると
$$ 2 y’ y^{”} + 2 y y’ = 0$$
これは以下のように書ける。
$$\left( \left( y’\right)^2 + y^2 \right)’ = 0$$
微分してゼロということは,かっこの中身は定数であるということなので,
$$\left( y’\right)^2 + y^2 = \mbox{const.} \equiv a^2$$
とおける。つまり,
$$ \frac{dy}{dx} = \pm \sqrt{a^2 – y^2}$$
を解けばよい。これは,変数分離法で解ける。
\begin{eqnarray}
\frac{dy}{\sqrt{a^2 -y^2}} &=& \pm dx\\
\int\frac{dy}{\sqrt{a^2 -y^2}} &=& \pm \int dx\\
\sin^{-1} \frac{y}{a} &=& \pm x+ C\\
\therefore\ \ y &=& a \sin (\pm x+ C) \\
&=& a \left( \pm \sin x \cos C + \cos x \sin C \right) \\
&=& A \cos x + B \sin x
\end{eqnarray}
ここで,$A \equiv a \sin C, \ B \equiv \pm a \cos C$ とおいた。
\( y^{”} – y = 0\) を脊髄反射によらずに解く
面倒なことを避けるために簡略化バージョンで。\( y^{”} – y = 0\) の両辺を \( i^2 = -1\) で割ると,
$$\frac{d^2 y}{d(i x)^2} + y = 0$$
つまり,\( y^{”} – y = 0\) の解は,\( y^{”} + y = 0\) の解で $x \rightarrow i x$ という置き換えをすればいいから,
\begin{eqnarray}
y &=& A \cos (i x) + B \sin (i x) \\
&=& A \cosh x + i B \sinh x\\
&=& A \cosh x + B’ \sinh x
\end{eqnarray}
簡略化しないバージョンでやるならば,\( y^{”} – y = 0\) の両辺に \(2y’\) をかけると
$$ 2 y’ y^{”} – 2 y y’ = 0$$
これは以下のように書ける。
$$\left( \left( y’\right)^2 – y^2 \right)’ = 0$$
微分してゼロということは,かっこの中身は定数であるということなので,
$$\left( y’\right)^2 – y^2 = \mbox{const.} \equiv C$$
とおける。つまり,
$$ \frac{dy}{dx} = \pm \sqrt{y^2+C}$$
を解けばよい。これは,変数分離法で解ける。\(C > 0\) ならば \(C \equiv a^2\) とおいて
\begin{eqnarray}
\frac{dy}{\sqrt{y^2 + a^2}} &=& \pm dx\\
\int\frac{dy}{\sqrt{y^2 + a^2}} &=& \pm \int dx\\
\sinh^{-1} \frac{y}{a} &=& \pm x+ C\\
\therefore\ \ y &=& a \sinh (\pm x+ C) \\
&=& a \left( \pm \sinh x \cosh C + \cosh x \sinh C \right) \\
&=& A \cosh x + B \sinh x
\end{eqnarray}
ここで,$A \equiv a \sinh C, \ B \equiv \pm a \cosh C$ とおいた。
\(C < 0\) ならば \( C \equiv – a^2\) とおいて
\begin{eqnarray}
\frac{dy}{\sqrt{y^2 – a^2}} &=& \pm dx\\
\int\frac{dy}{\sqrt{y^2 – a^2}} &=& \pm \int dx\\
\cosh^{-1} \frac{y}{a} &=& \pm x+ C\\
\therefore\ \ y &=& a \cosh (\pm x+ C) \\
&=& a \left( \cosh x \cosh C \pm \sinh x \sinh C \right) \\
&=& A \cosh x + B \sinh x
\end{eqnarray}
ここで,$A \equiv a \cosh C, \ B \equiv \pm a \sinh C$ とおいた。
まとめ
というわけで,\( y^{”} + y = 0\) や \(y^{”} – y = 0\) を脊髄反射によらずに解くことができたが,以後は面倒なので,脊髄反射で答えを叫ぶようにしましょう。
ここで使った微分積分の公式は,理工系の数学Bでやっている。例えば以下を参照: