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ラグランジュの未定乗数法(2次元)

f(x,y)=0 の条件のもとで,関数 g(x,y) が極値をとる点 (x,y)=(a,b) では,

F(x,y,λ)g(x,y)+λf(x,y)

について

Fx=Fy=Fλ=0

を満たすような定数 λ が存在する。(以下の証明でわかるように,fxfy が同時にゼロになることはない,という条件がある。)

証明:パート 1

まず,点 (x,y)=(a,b)fy0 とする。このとき,f(x,y)=0 を満たす陰関数を y=y(x) として,陰関数定理より

dydx=  fx  fy

この陰関数 y=y(x) を使うと,g(x,y)=g(x,y(x)) となり関数 gx のみの1変数関数となる。したがって g(x,y) が極値をとる点では

dgdx=gx+gydydx=gx+gy(  fx  fy)=gx+(  gy  fy)fx=0  at  (x,y)=(a,b)ここで  λ  gy  fy  とおくとgx+λfx=0  at  (x,y)=(a,b)  Fx=0  at  (x,y)=(a,b)

また,Fy については,λ=  gy  fy を使うと,

Fy=gy+λfy=gy+(  gy  fy)fy=gygy=0

最後に Fλ については,そもそもの拘束条件 f(x,y)=0 より

Fλ=f(x,y)=0

となり,

Fx=Fy=Fλ=0

を満たすような定数 λ が存在することが示された。


証明:パート 2

(x,y)=(a,b)fy=0 の場合は,fx0 であるから,f(x,y)=0 を満たす陰関数を x=x(y) としてやれば同様に証明できる。

まず,点 (x,y)=(a,b)fx0 とする。このとき,f(x,y)=0 を満たす陰関数を x=x(y) として,陰関数定理より

dxdy=  fy  fx

この陰関数 y=y(x) を使うと,g(x,y)=g(x(y),y) となり関数 gy のみの1変数関数となる。したがって g(x,y) が極値をとる点では

dgdy=gxdxdy+gy=gy+gx(  fy  fx)=gy+(  gx  fx)fy=0  at  (x,y)=(a,b)ここで  λ  gx  fx  とおくとgy+λfy=0  at  (x,y)=(a,b)  Fy=0  at  (x,y)=(a,b)

また,Fx については,λ=  gx  fx を使うと,

Fx=gx+λfx=gx+(  gx  fx)fx=gxgx=0

最後に Fλ については,そもそもの拘束条件 f(x,y)=0 より

Fλ=f(x,y)=0

となり,

Fx=Fy=Fλ=0

を満たすような定数 λ が存在することが示された。

拘束条件付きで極値を求める例題

面積一定の長方形で,周長が最小となるのは正方形のときであることを,陽関数でやったり,陰関数定理を使ったり,ラグランジュの未定乗数法を使ったりして示してみる。

斜方投射をラグランジュの未定乗数法で

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