2つの関数(あるいは微分方程式の解)が1次独立であるとは,どういうことか? 1次独立であるための条件とは?
1次独立であることの定義
2つの関数 \(y_1\) と \(y_2\) が1次独立であるとは,簡単にいうと,一方の関数がもう一方の関数に比例しているような関係にない,ということである。
もう少し,それらしく言い直すと
$$ C_1 y_1 + C_2 y_2 = 0$$
を満たす係数が \(C_1 = 0, C_2 = 0\) 以外に存在しないとき,2つの関数 \(y_1\) と \(y_2\) は1次独立であるという。
ロンスキー行列式(Wronski determinant, Wronskian)
2つの関数 \( y_1(x), y_2(x) \) が1次独立かどうかを判定する量として,ロンスキー行列式(以下,ロンスキアン:Wronskian)というものがある。
ロンスキアンとは,2つの関数 \( y_1(x), y_2(x) \) およびその微分 \( y’_1(x), y’_2(x) \) から作られる以下のような行列式 \( W(y_1, y_2) \) のこと:
$$W(y_1, y_2) \equiv\det\begin{pmatrix}
y_1 & y_2 \\
y’_1 & y’_2 \\
\end{pmatrix} = y_1 y’_2 – y_2 y’_1$$
このロンスキアンがゼロでないとき,つまり \( W(y_1, y_2) \neq 0\) のとき,2つの関数 \( y_1(x), y_2(x) \) は1次独立であるという。そうでないとき,つまり \( W(y_1, y_2) = 0\) なら2つの関数 \( y_1(x), y_2(x) \) は1次従属である,という言い方をする。
この証明は以下のようにする。
もし \( y_1(x), y_2(x) \) が1次独立ではないなら(つまり,一次従属なら)
$$ C_1 y_1 + C_2 y_2 = 0$$
をみたすゼロではない \( C_1, C_2 \) が存在する。この両辺を微分して,さらに \( C_1 y_1 \) をかけると
$$ C_1 C_2 y_1 y’_2 + C_1 C_1 y_1 y’_1 = 0 $$
\( C_1 y_1 = – C_2 y_2 \) を代入して,\( C_1 C_2 \) でくくると
$$ C_1 C_2 \left( y_1 y’_2 – y_2 y’_1\right) = 0$$
\( C_1 C_2 \neq 0 \) だから,\(W(y_1, y_2) = 0 \) が一次従属であるための条件としてでてくる。