「円の面積を2重積分で求める」で,円の面積は求めているので,参考までに楕円の面積についてもまとめておく。楕円の面積は天文学・宇宙物理学のケプラーの第2法則(面積速度一定則)の際に使うので,念のために Maxima で求めている(「Maxima-Jupyter で楕円の面積を求める」)が,Maxima に頼らず,人力でも積分したくなるでしょ?
以下で示すように,素直に楕円の中心を原点としたデカルト座標で累次積分してください。間違って,楕円の焦点を原点とした極座標を使って2重積分しようとするものなら,痛い目にあいます。
累次積分を使う
領域
高校数学では,
となると習ったと思うが,この式が上記の累次積分で導かれたことになる。
ここで,
焦点を原点とした極座標による累次積分
焦点を原点とした極座標
であった。この極座標で表すと,領域
となる。したがって楕円の面積は以下のようになるが…
答えは既に
まず,授業でやった「sin 𝑥, cos 𝑥 の有理関数の積分」のセオリーにそって,以下のような変換を行なって置換積分の格好にする。
まずは不定積分の形で,変数変換後,部分分数に分解し,さらに部分積分も駆使して…(ってこんなの私の腕力ではできません。ここだけこっそり Maxima 使いました。)
(ここで
上記第2項は,
最終的に
離心近点離角を使った置換積分
Memo「真近点離角と離心近点離角との関係についてもう少し」にまとめたように,以下のように変数
離心近点離角の幾何学的意味づけも興味深いが,ここではあくまで置換積分のための変数変換であるという数学的道具としての有効性のみを強調するのみにとどめる。角度座標
座標変換し,ヤコビアンを計算して積分
楕円の内部を表す領域
と書けた。ここで,
以下のような座標変換をおこなって,新しい座標変数
したがって,領域
となる。この座標変換によって,微小面積要素は
となる。ここで
最終的に面積は,