うちの学科というか学部では,2年次前期開講のこの授業「理工系の数学C」で偏微分を教えることになっているが,実際には,その前,1年次後期の「電磁気学I」で偏微分が必要になるため,「電磁気学I」のなかで時間をさいて偏微分やベクトル解析を教えている。以下の口上は「電磁気学I」の偏微分の項からの抜粋。
人生になぜ「偏微分」が必要か?
高校で習った,そして「理工系の数学B」でもやった「微分」は1変数関数 \(f(x)\) に対する微分:
$$\frac{df}{dx} \equiv \lim_{h\rightarrow 0}\frac{f(x+h) – f(x)}{h}$$
我々の住む世界は3次元空間であり,(デカルト座標系をとると) \(x, y, z\) の3つの空間座標(変数)で記述される。また,一般に物理量は時間とともに変化するから,時間座標 \(t\) にも依存する。つまり,我々が電磁気学などで扱う物理量は \(f(x, y, z, t)\) のように一般的には4つの変数に依存する多変数関数である。多変数関数の微分として「偏微分」がある。
ここでは,多変数関数のうち,もっとも簡単な2変数関数 $f(x, y)$ を例に,電磁気学I でやった偏微分についておさらいしておく。