『ちょうじゅうぎが こどもびじゅつえほん』便利堂

『ちょうじゅうぎが こどもびじゅつえほん』便利堂

 

国宝の《鳥獣戯画》が幼児向け絵本になっています。平安時代のモノクロームの墨線で描かれた動物たちはユニークで、ほんとうに生き生きしています。楽しい絵にやさしいお話がつきました。

 

『ちょうじゅうぎが こどもびじゅつえほん』便利堂

うさぎがおさるのおぼうさんに、おそなえものをしています。おそなえものにされているのは、はたして?

文字のない《鳥獣戯画》。実際にはどのような会話が想定されていたのでしょうか?
ストーリーを想像するのも絵を見る楽しみの一つ。

 

※この投稿の画像は出版社の許可を得て掲載しているものです。無断転載はご遠慮ください。

 

再話:おざわとしお、画:赤羽末吉『かちかちやま』福音館書店

再話:おざわとしお、画:赤羽末吉『かちかちやま』福音館書店

 

おなじみの「かちかちやま」。印象に残るのは機知に富んだ兎の行動で、さわやかな読後感すらあるような気がします。

表情豊かな動物の動きがユーモラスで目が離せない一方、昔日の日本の美しい風景描写にため息が出ます。鎌倉や室町時代の絵巻物にあるような遠景から捉えられた野山の描写、鳥獣戯画を連想させる動物たちーとはいえ、絵本ならではの勢いのある躍動感が魅力でもあります。ここでもまた、赤羽末吉の筆が冴えています。

 

※この投稿の画像は、出版社が一般に許可している範囲内のものです。無断転載はご遠慮ください。

 

演奏者紹介:宮本香織さん(ピアニスト)

「0歳から大人まで みんなのコンサート」出演のピアニストを紹介いたします。

宮本香織(みやもと・かおり)

青森高等学校卒業。お茶の水女子大学芸術・表現行動学科卒業、同大学大学院修了。

浅野清氏、小坂圭太氏他に師事。2007年ウィーン国立音楽大学夏季セミナー、2017年フランス・スコラカントゥルム教授ビリー・エイディ氏特別レッスンにてディプロマ取得。

これまでにピティナ・ピアノコンペティション全国大会、東北青少年音楽コンクール本選等で入賞。青森県立美術館アレコホール他でリサイタルを開催。東京・青森・弘前でジョイントコンサートに多数出演し、文化庁支援芸術体験事業にて学校訪問演奏等の活動も行う。

お茶の水女子大研究補佐を経て、現在、弘前大学教育学部非常勤講師。東北青少年音楽コンクール優秀指導者賞、グレンツェンピアノコンクール指導者賞受賞。全日本ピアノ指導者協会会員。

 

独唱や合唱とのアンサンブルピアニスト、またソリストとして活発な活動を展開。美しい音色と、とりわけフランスやイタリアの近代の作品の解釈に定評があります。
一方で音楽教室では、小さなお子さんから大人の方まで幅広い層の生徒さんを指導し、丁寧なレッスンと優しい人柄で愛される先生でもあります。
弘前大学ではソルフェージュとピアノのレッスンを担当。日本を代表する音楽家のひとり、近藤譲氏から学んだソルフェージュ指導を活かし、未来の音楽教師を鍛えています。

今回の「みんなのコンサート」のために、リスト《ラ・マルセイエーズ》を新たにレパートリーとして開拓してくれました。ベートーヴェン《「ゴッド・セイブ・ザ・キング」による変奏曲》は、かつて、試験曲として練習していたとか。クライスラー作曲ラフマニノフ編曲の《愛の哀しみ》と、ショパンのマズルカ op. 7, no. 1は、コンサートに華を添える曲として宮本さん自ら選曲。ソロ・コンサートとしてたいへん豪華なプログラムになりました。

素敵な演奏会となること請け合いです。ぜひご期待下さい!

 

作・絵:きくちちき『しろねこくろねこ』学研(Gakken)

 

作・絵:きくちちき『しろねこくろねこ』学研(Gakken)

 

お互いを好きなしろねことくろねこの物語。くろねこの切ない気持ちとしろねこのやさしい一言。心に残る絵本。

墨による表現の可能性があますところなく示されています。モノクロームの世界に所々配された色。そして突然に視界に入り込んでくる溢れるような色彩!

丁寧に作られた装丁までもが美しい一冊です。

 

※この投稿の画像は出版社の許可を得て掲載しているものです。

 

文:大川悦生、絵:赤羽末吉『きんいろのきつね』ポプラ社

文:大川悦生、絵:赤羽末吉『きんいろのきつね』ポプラ社

 

狐にまつわるお話にもいろいろなタイプがありますがースケールの大きな化けぎつねのお話です。
平安時代の末頃、みかどにお仕えする女たちのなかに、「たまものまえ」というきれいな姫さまがいました。とてもきれいなので、みかどにたいそう可愛がられていました。ところが、この姫さまに会うたびにみかどは体の調子が悪くなるのです。都で一番の占い師あべのやすなりが調べてみると、なんとこの姫さまの正体は、猛々しい「きんいろのきつね」でした。

この狐、はるか昔、天と地が分かれたばかりの頃に生まれた女狐で、らんらんと照り輝く目、ふっさりと長い金色の毛、九つにさけた長い尾をもち、子牛くらいの大きさで、怪しげな術を使うことができるのでした。

地上で人間の国が栄えるようになると、美しいお妃になりすましたり、お妃の一人に取り憑いたりして、なんと古代中国の殷や周の国を滅亡へと至らしめます。インドの摩掲陀国では、王子の妃になりすまして、子どもをさらっては食べてしまっていました。
そんな狐が、今度は海を渡って 日本にやってきたのです。

さて、正体が判明されてしまった「きんいろのきつね」は東国の那須野が原に逃げ延びます。そののち、そこでは農民たちが何人も姿をくらましていきました。これがあの狐の仕業であるこてがわかり・・・この後、広大な那須野が原で繰り広げられるなすの八郎率いる東国の強者たちと狐の戦いは、壮大で圧巻です。

那須野が原の殺生石にまつわるお話です。

 

数々の日本の民話に見応えある挿絵を描いてきた赤羽末吉の筆による絵画。

繊細な墨線が迷いなく引かれた輪郭線。大胆で美しい色彩。広大な構図。ページをめくるごとに完成された絵画が現れます。物語と絵画のスケールが見事に調和しています。

 

※この投稿の画像は出版社から掲載の許諾を得ているものです。

 

作:安野光雅『かげぼうし』冨山房

作 安野光雅『かげほうし』冨山房

 

ひどい雪の降る寒い町に、マッチ売りの女の子が出てきました。ーおなじみの『マッチ売りの少女』のおはなしが、この絵本を通すと違った印象になっていきます。

野原のずっとずっと向こうには、ひみつのくにがありました。そこは「かげぼうし」の国でした。冬になって、太陽の出る日が少なくなると、暇になったかげぼうしたちが、世界のあちこちから帰ってきてお祭り騒ぎになります。そんな「かげぼうし」の国にたった一人、この国を自由に行き来できる人間がいました。見張り番でした。遠眼鏡で遠くを見張り、太陽が出そうになると鐘を鳴らして知らせるのが彼の仕事でした。そんな見張り番が姿を消して、「かげぼうし」の国では大騒ぎー

その頃、マッチ売りの女の子の前に、「げんきをおだし」と見知らぬ男が現れます。この男がマッチ箱を一箱買って、マッチに火をつけると、雪の上に二人のかげぼうしができました。ー

かげぼうしの国とマッチ売りの少女の雪降る町、二つの世界がつながっていきます。

 

※この投稿の写真は出版社の許可をとって掲載しています。

 

 

 

 

「絵本と絵画の鑑賞会+ワークショップ」vol. 2 の参加申し込み、今週土曜日(1/18)12時開始です!

 

2月8日(土)と2月29日(土)に開催します!どちらも参加無料です!

 

おはなし会でとりあげる絵本のテーマは両日とも雪と動物です。おもに日本の民話やおとぎ話に注目していきますが、最近の絵本作家さんによる創作絵本も紹介します。29日は動物が活躍する物語を中心にするかもしれません。

 

ワークショップは、2月8日(弘前文化センター3階、工作実習室)の午前はモノクロームの墨絵、午後は日本画の岩絵具の色彩を楽しみます!

この日の対象は、午前・午後とも、幼稚園・保育園〜小学校高学年にかけてのお子さまと保護者の方々です。保護者の方もワークショップに参加できます。

 

2月29日(ヒロロ3階、多世代交流室1)は、午前・午後とも、筆ペンと固形絵具や水性色鉛筆を使って挿絵制作に挑戦します!

対象は、基本的に、午前は幼稚園・保育園〜小学校低学年のお子様と保護者の方々、午後は小学生と保護者の方々です。お子さまと年齢の時間帯の組合せについてはご相談に応じますのでお気軽にお問い合わせください。また、保護者の方もワークショップに参加できます。

 

※ワークショップの途中退出は可能です。

※弘前大学教育学部美術教育講座の教員および学生が解説・アドヴァイスをいたします。

 

ご参加のお申し込みは、

2月8日については、1月18日(土)12:00から

2月29日については、2月9日(日)12:00から

どちらも当ウェブサイトのお申込専用フォームで承ります。

どうぞお気軽にご参加ください!

 

作:ルース・エインズワース、画:酒井信義、訳:石井桃子『ちいさなろば』福音館書店

作:ルース・エインズワース、画:酒井信義、訳:石井桃子『ちいさなろば』福音館書店

 


 

クリスマス・イブになりました。

 

草はらのかこいの中でくらす「ちいさなろば」はひとりぼっちです。

かこいの中をのぞいた女の子たちが言いました。「おやすみ、ろばさん」「あたしたち、いそいでうちへかえるところ。ベッドにくつしたをつるさなくちゃならないから。」

この時、ろばははじめて、女の子たちからクリスマス・イブの夜にプレゼントを届けるサンタ・クロースのことを聞きました。

 

その日の夜、ろばの目の前に現れたのはなんとそのサンタ・クロースでした!

そりをひくトナカイのうちの一頭が足を痛めてしまったために困っていたサンタ・クロースは、ロバを見て、代わりにそりを引いてくれないかと頼みます。こうしてロバは、子どもたちにプレゼントをくばるサンタ・クロースの手伝いをすることになりました。・・・

 

「おまえには、なにかいいプレゼントをやらなくてはならないな」と言うサンタにロバは「ともだちをください」と頼みました。次の日の朝、ロバのもとにあらわれたのは・・・

 

やわらかな水彩画のタッチが物語のあたたかさと「ちいさなろば」の可愛らしさを引き立てています。

赤色の表紙とちいさなろばを描くほっそりとした的確な黒の輪郭線が印象的。裏表紙の工夫にも脱帽です。

 

絵本と絵画の鑑賞会+ワークショップ vol. 1 、陸奥新報に掲載されました!

先日の「絵本と絵画の鑑賞会+ワークショップ」の記事が陸奥新報(2019, 12, 20)に掲載されました!

 

おはなし会で読み聞かせをしてくださった神先生のお写真付きです。

 

 

先生のおはなしに熱心に耳をかたむけて聞いている子どもたちの後ろ姿が印象的です。

神先生、ありがとうございました!!!

 

(記事は陸奥新報社様より、本ウェブサイトのために許諾を得て掲載しています。転載、記事画像への直接リンクは固くお断りいたします。)

たなか鮎子『クリスマスマーケットのふしぎなよる』講談社

たなか鮎子『クリスマスマーケットのふしぎなよる』講談社

 

ドイツのクリスマスマーケットを思わせる絵本です。

 

ヨハンがはじめてクリスマスマーケットのでかけた日のふしぎな出来事――

クリスマスマーケットにはたくさんのお見せが並んでいます。

ガラスでできたオーナメントのお店、カッコウ時計のお店、ジンジャークッキーのお店・・・

そんななかヨハンの耳にひそひそと話す声が聞こえてきました。話していたのは、くるみ割り人形と金色にかがやくお星さま。このお星さま、北風に吹かれて、マーケットの大きなツリーのてっぺんから落っこちてしまったのです。ヨハンはお星さまをもといた場所に戻すお手伝いを買って出ます。

 

マーケットに立つ時計台の王様の知恵と、それぞれのお店にならぶガラスの天使や時計の鳥、ジンジャークッキーのお人形たちの手助けで、ヨハンはクリスマスツリーのてっぺんにお星さまを戻そうと奮闘します。ツリーのてっぺんにたどりつきそうになった時、そこにいたのは北風でした。・・・

このあとに続く北風とヨハンの対話に注目です。

 

雪降るクリスマスマーケットを照らすお店のあかり、きらきらと光るクリスマスツリーのオーナメント・・・可愛らしくも大胆で、おしゃれな挿絵が、ヨーロッパのクリスマスの風景をあざやかに描き出しています。

ヨーロッパにのこるさまざまな童話や寓話のエッセンスが詰まった一冊。