詩:クレメント・ムア、絵:ターシャ・テューダー、訳:中村妙子『クリスマスのまえのばん』偕成社

詩:クレメント・ムア、絵:ターシャ・テューダー、訳:中村妙子『クリスマスのまえのばん』偕成社

 

 

「クリスマスのまえのばん」、ひっそりと静まり返った家の中で、とうさんは外でカタカタという物音がすることに気づきます。むっくりと起き上ったとうさんが、窓をあけて目にしたのは、八頭のトナカイのひく橇に乗ったサンタクロース!このこがらなおじいさんは、こどもたちが眠るとうさんの家に到着すると屋根の上に降り立ちます。

 

―ドシン!

煙突を抜けて暖炉にいせいよく飛び出して来たのは、ほかならぬこのサンタクロースでした。・・・

 

多くの人が思い描くクリスマスイブのサンタクロースのイメージは、1823年にクレメント・ムアがしたためたこの詩に遡るそうです。

 

19世紀の理想的家族のすがたを想起させるターシャ・テューダーの繊細な水彩画が美しい一冊です。

まさしく「絵に描いたかのような」幸せなクリスマスのイメージが広がります。

 

絵本と絵画の鑑賞会+ワークショップ vol. 1、午後の部でできた作品です!

午後の部でもたくさんの素敵な作品ができあがりました!

午後は幼稚園・保育園から小学校中学年までのお子さまが参加しました。

たくさんの細やかな作品ができました。模様や色の組み合わせが鮮やかです!

雪が降ってくる空の表現。薄く透ける紙の下と上に四角いシールをうまく貼って表現しています。

 

せなけいこさんの『ねないこだれだ』を意識しながら、クリスマスツリーを描いていました。和紙の繊維をうまく使っています。

 

まだ途中なのですが、大きなチューリップの間の女の子と男の子。おとぎ話のようで可愛らしかったです。

 

トナカイのひく橇の上のサンタさん。とても可愛らしい。トナカイや橇は形を作るのが難しく、想像しながら上手に切り抜いていきました。

 

また途中です。ひまわりの花びらや葉っぱを、柔らかい和紙や透けて光る紙を使いながらまるで本物のように描いています。画面いっぱいのひまわりが力強く生き生きとして見えます。

 

かわいらしいうさぎさんです。キラキラひかるホログラムの折り紙を上手に使って、きれいな雪の表現になっています。

 

どんな作品になるのかな、と思っていたら、素敵なクリスマスツリーになりました。キラキラした紙や、フルーツ模様の紙などを上手に使って、可愛らしくキュートなクリスマスの風景ができあがっています。

 

手漉きの紙や和紙のやわらかな風合いをうまく生かして、雪の日のツリーと雪だるまが出来上がっていきました。やさしい雰囲気が伝わってきます。

 

お花見の一コマです。ひらひらと舞う桜の花びらを和紙の模様を使って表現しています。おいしそうなおにぎりや、ご馳走(?)を運ぶ男の人からお花見の賑わいが伝わってきます。千代紙の和風の模様が上手に使われています。

 

窓の外の風景です。木の材質をいかした紙が上手に木枠を演出しています。いろいろな紙の特性がうまく活かされた素敵な作品だと思います。

 

 

たくさん作ってくれました!はじめに出来あがったのがサンタクロースのいる雪景色で、そのあとに赤い色が目をひく秋の風景、それから光るシールをいかした夏の風景・・・と、カレンダーのような連作ができあがっていきました。模様の切り方やモチーフの配置が上手!

 

「こんなお部屋があったらいいな」と思った室内の様子。カーテンの使い方が絶妙だと思います。色や模様の重なりも素敵。

 

 

とてもたくさんの作品ができあがりました!光る素材、透ける素材、模様のある素材、シンプルな紙でつくったモチーフ・・・いろいろなものをうまく組み合わせて、楽しい連作になっています。紙を重ねていく工夫によって、一つ一つの作品がだんだんと複雑で味わいのあるものへと変化していきました。

 

海の底の魚たちです。いろいろな色の紙を上手に切って、彩りよく配置してあります。ぷくぷくと浮いてくる泡がかわいらしい。

 

夜空をかける汽車。窓に使った透ける和紙、中にいる人々の様子など、いろいろなところに工夫がほどこされています。

 

このほかにもたくさんの作品がありました。

やはりもっとお写真を撮っておけばよかった・・・。

みなさん集中して作品作りをされていたのが印象的でした。

絵本と絵画の鑑賞会+ワークショップ vol. 1 、午前の部の作品です!

午前の部で出来上がった作品、一部ですが紹介していきます。

 

午前中は幼稚園・保育園から小学校低学年のお子さまが参加しました。

少し画像がぼやけてしまいました。キラキラ光るクリスマスツリーと透けるピンクの紙で作っているオーナメントがキュートで、可愛らしかったです。

 

おいしそうなケーキ。上に並んでいるイチゴは、二枚の紙を重ねて、模様が透けてみえます。素敵な工夫だと思いました。

 

楽しそうなサンタクロース。赤い色の紙の存在感が引き立ちます。背景のツリーやオーナメントにも細やかな工夫がしてあります。大きなサンタさんとのバランスが絶妙です。

 

紙をひらひらさせて立体的に貼りつけてあり、目をひきます。全体的に、色彩や模様の相乗効果で華やかな作品に仕上がっています。

 

まだ途中なのですが、いろいろな色のシールを並べてにぎやかなクリスマスツリーになっていきました。色の配色が楽しく、見ていると、クリスマスのワクワクする気分が伝わってきます。

 

「何ができていくのかな?」と楽しみに見ていました。はじめに狐が貼られていって、最後のほうで鳥居が出てきて、「なるほど、稲荷神社に雪が降っていたんだ!」とはっとしました。幻想的ながらもほんわかとあたたかい作品です。

全部ご紹介しきれないのが残念ですが、このほかにもたくさんの素敵な作品がありました。

お写真もっと撮っておけばよかったです。

――午後の部の作品はまた別に紹介します。

 

絵本と絵画の鑑賞会+ワークショップ vol. 1 開催しました!

「ワークショップ」の様子です!

たくさんの方が参加してくださって、とても楽しい会になりました。

みなさん、いろいろな紙を使って、それぞれに工夫しながら素敵な作品を作っています☆

 

次回は、できあがった作品を紹介します。

文・絵:マレーク・ベロニカ、訳:羽仁協子『ブルンミとゆきだるま』風濤社

文・絵:マレーク・ベロニカ、訳:羽仁協子『ブルンミとゆきだるま』風濤社

 

 

元気な女の子アンニパンニとクマのぬいぐるみブルンミのお話の中の一冊。

冬の朝、窓の外を眺めて雪が降っているのを見た二人は、大喜びで外に出かけます。

降り積もった白い雪の上でそりを滑らせたり、雪玉を投げ合ったり。

アンニパンニが作る大きな雪玉を見てブルンミは怖くなります。

「えーっ!アンニパンニ そんなにおおきいのを なげるの?」

アンニパンニは答えます。

「ちがうわ ちがうわ ブルンミったら」「ゆきだるまを つくるのよ。・・・」

ブルンミは二人で作ったゆきだるまが大好きになりました。

 

ところがアンニパンニはしばらくすると、おうちに帰ると言い出しました。

このあと「ブルンミとゆきだるま」はどうなるのでしょうか。

-―雪遊びの楽しさが伝わってきます。

 

1937年、ハンガリーのブダペスト生まれの絵本作家マレーク・ベロニカによる挿絵。

生き生きとデフォルメされた線が見せる二人の仕草や表情は可愛らしく、ポップでおしゃれな雰囲気に溢れています。

作・絵:しまだともみ『イーラちゃんとあめふりピアノ』偕成社

作・絵:しまだともみ『イーラちゃんとあふめりピアノ』偕成社

 

 

げんきいっぱいなイーラちゃんの絵本シリーズのなかの一冊。

 

本当はとってもピアノの上手なイーラちゃん。

ある日、ショパンの難しい曲を弾いていると、そこに一匹の大きなカエルが現われました。

なんとこのカエル、カエルの国の王様でした。

 

カエルの国には「あふめりピアノ」というものがあって、カエルたちがこのピアノに合わせて合唱すると、雨が降ることになっているそうなのですが、王様はピアノをうまく弾けません。

そこでピアノの上手なイーラちゃんに「あめふりピアノ」を弾いてもらおうと頼みにきたというわけです。「そんなことならよろこんで!」とうなずいたイーラちゃん。王様がイーラちゃんの鼻をちょんとさわると、彼女はみるみるうちに小さくなっていきました。

王様の背中になってカエルの国に出発!――

 

さてこの後はどうなるのやら。この出来事のあと、イーラちゃんはでたらめなピアノを弾くようになったみたいです。

 

元気なイーラちゃんの表情や仕草が溌剌として可愛い。

《イライライーラちゃん》の曲(しまだともみ作詞、うちだえーすけ作曲)の歌詞と楽譜がついています。

再話:松居直、画:赤羽末吉『だいくとおにろく』福音館書店

再話:松居 直、画:赤羽末吉『だいくとおにろく』福音館書店

 

流れのはやい川に橋を架けるよう村人に頼まれた大工――

川のほとりにやってきた彼は、水の流れを眺めながらどうしたものかと思案します。

その時、ぶくぶくと泡がたちはじめた流れの中からいきなり現れたのは、大きな鬼でした。

目玉と引き換えに橋を架けてやってもいいと言う鬼と、迷う大工。

二人の軽妙なやりとりがおもしろい。

 

さまざまな絵本挿絵で知られる赤羽末吉の軽快な筆遣いと目に彩な色彩。

日本の伝統的な絵画技法の流れを受け継ぐ見事な挿絵が、昔話の面白みを引き立てています。

作:デイビッド・リッチフィールド、訳:俵万智『クマと森のピアノ』ポプラ社

作:デイビッド・リッチフィールド、訳:俵万智『クマと森のピアノ』ポプラ社

 

ある日、こぐまのブラウンは、森の中で「へんなもの」に出会います。

美しい音の出るそれは、一台のピアノでした。

 

この音の出るものに心惹かれたブラウンは、来る日も来る日も鍵盤を鳴らしにやってきました。

そうしてだんだんとこのピアノに親しんでいったブラウンは、いつの間にか、素敵なメロディを奏でられるようになっていました。彼の紡ぎ出す美しい音楽は、森の仲間たちをも惹きつけます。ブラウンのピアノの旋律はみんなを幸せにしました。

 

そんな時、この森にやってきた人間の親子が偶然にもブラウンのピアノを耳にします。ブラウンは女の子に誘われて、音楽の溢れる町にでてたくさんの観客を前にピアノを弾いてみようと、森を出る決心をしますーー

 

ピアノのある美しい森の情景が印象深い一冊です。

作・絵 みやこしあきこ『ピアノはっぴょうかい』ブロンズ新社

作・絵:みやこしあきこ『ピアノはっぴょうかい』ブロンズ新社

 

 

はじめてのピアノの発表会をむかえたももちゃん。むねがどきどきします。

「だいじょうぶ だいじょうぶ」と心の中で繰り返すももちゃん。

そのとき足もとで、「だいじょうぶ だいじょうぶ」とささやく小さな声が聞こえてきました。

そこにいたのはこねずみでした。こねずみもまた、はじめての歌の発表会をむかえようとしていました。こねずみについていったももちゃんはーー

 

ピアノを習い始めた頃、同じようにどきどきした経験のある人は多いと思います。

演奏前や演奏中の緊張と、演奏後の爽快感と後悔が入り混じったような感覚、そしてほっとし安堵感。

みやこしあきこの繊細なモノクロームの鉛筆画が、遠い日の記憶を蘇らせます。

 

 

 

 

作:マリー・ホール・エッツ&アウロラ・ラバスティダ、画:マリー・ホール・エッツ、訳:田辺五十鈴『セシのポサダの日 クリスマスまであと九日』冨山房

作:マリー・ホール・エッツ&アウロラ・ラバスティダ、画:マリー・ホール・エッツ『セシのポサダの日 クリスマスまであと九日』冨山房

 

 

クリスマスが近づいてきました。

 

メキシコでは、クリスマス前の九日間、毎晩どこかの家で「ポサダ」と呼ばれるパーティーが開かれるそうです。そこでは、ピニャタという、中に粘土でできた壺の入った動物や星のかたちのハリコがロープに吊るされます。そこには、色とりどりのお菓子が入っていて、ポサダにやってきた子どもたちは、目隠しをしてこのハリコの入れ物を割って遊ぶのです。

 

この絵本では、幼稚園に通い出した女の子セシが、はじめて自分のポサダを開いてもらうことになった時のおはなしが語られています。彼女は、はじめて出かけたクリスマスマーケットで、星のかたちをしたピニャタに出会いました。

待ちに待ったセシのポサダの晩――、彼女はピニャタが割られてしまうのが悲しくてたまりません。セシのピニャタの星はどうなってしまうのでしょうか。

 

ポサダを楽しみにするかわいらしいセシの様子が、鮮やかな色彩がところどころリズミカルに配された鉛筆画で描き出されています。クリスマスの賑わいを前にした小さな女の子のワクワクす気もちが伝わります。お母さんとクリスマスマーケットに向かう時のうれしそうな後ろ姿、ピニャタの星が割られてしまうことを悲しがる様子、そして、大事にしているお人形のガビナとともに空の星を見あげる一生懸命な表情など、小さな女の子セシがなんとも愛らしく微笑ましい。