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Return to 真空中のマクスウェル方程式と電磁波

参考:波動方程式について

いきなり 2f1v22ft2=0 を見せられて,これは速さ v で伝わる波を表している波動方程式だと言われても困るだろうから,少し解説。

1次元波動方程式

まず,簡単のために f が1次元,x 方向のみの空間依存性を持つとすると

2f=(2x2+2y2+2z2)f2x2f

となる。この1次元波動方程式

(2x21v22t2)f=0を例に,この波動方程式の一般解が任意の1変数関数 F(u),G(v) を使って
f(x,t)=F(xvt)+G(x+vt)と書けることを示す。

変数変換

変数変換 (x,t)(u,w) を以下のように定義する。

uxvtwx+vt

この逆変換は

x=12(u+w)t=12v(wu)

変数変換に関する偏微分の規則から

u=xux+tut=12x12vt 2u=x1vt

同様にして 
 2w=x+1vt

これを使うと,

(2x21v22t2)f=(x1vt)(x+1vt)f=4uwf=0

  u(wf)=0
これより,wfu  には依存せず, w のみに依存することがわかり,

wf=G(w)とおける。これを w で積分して

f=G(w)+F(u)

ここで F(u)w に依存しない積分「定数」である。ということで

f=F(u)+G(w)=F(xvt)+G(x+vt)

波動のグラフ例

1次元波動方程式の解のうち,F(xvt)+x 方向に進む波,G(x+vt)x 方向に進む波を表す。

例として sin(xvt)v=1  として Matplotlib でグラフにした例が以下である。

参考:

x 方向に伝播する平面電磁波の例

3次元波動方程式の解

2f1v22ft2=0

の解は以下のように書くことができる。

f=F(krωt)+G(kr+ωt)

ここで,k は波の進行方向を表す(角)波数ベクトル,ω は(角)振動数である。これを波動方程式にいれてやると,
kkω2v2=0,  v=ω|k|

特に,電場 E の解は,
E=E1f1(krωt)+E2f2(kr+ωt)

の形に書け,E=0 から

kE1=0,kE2=0

が得られる。これは振幅(変位の方向)を表す E1, E2 が進行方向を表す波数ベクトル k と直交していること,つまり横波であることを表している。

補足:E=0 の計算

簡単のために,1つの進行方向のみ

E=E1f1(u),  ukrωt

を考える。(振幅(変位の方向)を表す E1 は一定。)

xEx=(E1)xdf1duddx(krωt)=kx(E1)xdf1du  E=xEx+yEy+zEz=kE1df1du

  E=0kE1=0