投稿者: ishikawa

弘前大学農学生命科学部・教授
作物育種学研究室
野生イネの分布や遺伝資源としての評価,在来種の特性解析を通して,品種改良に利用しています.2021年度に弘大ライケット1号を農林水産省に申請.食用作物の遺伝資源の解析も行っていて,食用のヒシ,シークヮーサーなどを供試材料にしています.

遺跡とネコ

良渚遺跡(イネの栽培が盛んに行われた中国浙江省の遺跡)

良渚遺跡の炭化イネ種子

遺跡の”番人”

巡回OK

 

 

 

 

 

 

 

イネとともに多様な生活様式を示す

Water chestnut!

菱は日本にも分布しており,3種知られています.そのうち栽培種は中国から輸入されたものです.野生種として知られる他の3種ですがTrapa japonicaは佐賀県で栽培も行われています.ヒシボーロやヒシ焼酎などが開発されました.当研究室ではヒシの遺伝的多様性の解析をすすめています.

巨大胚変異体が得られました

 

化学変異原による付加価値創出のための研究で上記の巨大胚が選抜できました.この系統を増殖してGABA含有量の高い品種を育種できることでしょう.

CambridgeのEagle pub (ワトソンとクリック)

ケンブリッジはロンドンから離れた場所にあるいわゆる名門校,ちかくのノーリッチのジョンイネス研究所はメンデル遺伝学の再発見後,パネットスクエアを利用して遺伝学を説明したパネットが研究所の初代所長を務めたことで有名です.

礼拝堂のステンドグラス

 

大学校舎

川が多く,ボート競技でも有名です

 

その近くにあるのがこのパブ

看板にもあるようにワトソンとクリックがDNAらせんモデルを議論していたのでしょう.

 

遺跡とイネ 1

アジアの遺跡にはイネに関わる遺物が多数みられます.アユタヤもその一つをみることができます.イネの道(渡部忠世 NHKブックス 1977)では遺跡のレンガの中に残っている籾の圧痕のサイズを計測することで粒形の異なるイネ在来種を調査したことが報告されています.遺跡は年代が分かるため,その遺跡が作られるときに周辺にあったイネの種類を特定することができるのです.その痕跡をたどって,4世紀から19世以降にどのような変遷があったかをたどっています.

イネには在来種の系統分化によってさまざまな粒形の系統が地域ごとにみられます.上の写真は温帯日本型と熱帯日本型の品種を示しています.

さて,アユタヤの仏像はというと..

 

 

アユタヤの遺跡は,仏教とヒンドゥー教の国間での争いで仏像が破壊されたものです.よく見ると...

籾の跡がみられます.なぜこのような籾跡がつくのでしょう.それをみたのがミャンマーでの野生イネ調査のときでした.

 

車がある村の中に入ったときに大きな音量で何かを説明していました.ガイドによると新しいお寺を作るための寄進を呼びかけているとのことでした.

その前には大量の新しいレンガ.

 

村人たちが寺の前の土を掘り下げています.それらの土は型枠にいれられてレンガになります.

よくみると籾が大量に混ぜられています.補強のためにいれているようです.残念なことにネコはどこでもいたずらずき.わざわざレンガを上をあるいていくとは...まさかお寺のどこかにつかわれなければいいですが..ここではパゴタと呼ばれる寺院が作られるようです.

 

 

 

 

カントーの市場にて

川魚が豊富です.

豊富な野菜,ハーブ,これらの名前がわからないのがもどかしい.これらを1つ1つ調べていったら楽しいことでしょう.

ウリやハーブに在来種として調査すべきものもあることでしょう

 

おいしい果物も豊富です

 

沖縄との共通点はニガウリをよく食べることでしょう

辛いものも...

 

お揚げや漬物にもアジア共通の特徴があります

 

 

 

津軽の稲作

津軽の春は4月下旬に訪れます.弘前城が桜の花におおわれるころ,岩木山には残雪,里には春の気配が訪れます.

 

 

ここでは田おこしがおわり,肥料が混ぜられます.

水が引かれいよいよ田圃の準備です.

みちむこうにも水が引かれ,一斉に田圃の支度が始まっていることがわかります.東北の夏にあわせたあわただしい田の準備です.

水が引かれると田圃がならされる,いわゆる代掻きがおこなわれます.こうやって柔らかい田圃が準備され,いよいよ田植えです.

水上の上の田圃から順繰りに田植機で稲が植えられていきます.

 

Tugaru:イネの一年(5月)


 

 

田植えがすんできれいに小さなイネが並んでいます.

 

菜の花もきえ,リンゴの緑も生い茂る5月の水田.

 

 

風が強いので苗が風にたなびく姿.こころもちイネを深く植えることが必要です.

 

 

 

 

 

Tugaru:イネの一年(6月)


 

更新2001.07.17

苗床で肥料不足でしたが,これから元気な緑に変わります.

6月いっぱいの光を浴びてすくすくと育っています.このように1箇所に数本のイネを植える方法が一般の栽培では普通です.実験用では個体の遺伝子型を問題にするので1個体ずつ植えます.

 

   

 

Tugaru:イネの一年(7月)


 

更新2001.07.18

 

 

遠くからみるときれいな点描の世界です.

 

いよいよ成長が著しい季節です.この時期に寒さがやってくると大変です.それでも今年は雨が少ないのは畑の方には玉に瑕ですが,水田の稲は大きくなってきました.

 

どうです.この立派な姿!

もう一面の緑のカーペットです.

 

 

この時期は一度,田圃にいれる水をなくしてひび割れをわざとおこさせて,土の通気をよくさせる作業が行われます.この次の水は花を作らせるために重要な水となります.こんどは花水期です.

 

   

色にむらがあるのは最初の肥料が偏っていたためです.どうしてもそうなってしまうので,これから追肥の時期に色を見ながら肥料まきを手作業でおこないます.この色のむらをセンサーで判定しようという研究も行われているようです.

Tugaru:イネの一年(8月)


 

更新2001.08.20

                             

 

めっきりと夏らしい天候となりました.

   

出穂しているために多少,でこぼこにみえます.

 

Tugaru:イネの一年(9月)


さあ,いよいよ収穫の秋です.これは9月のはじめのころのイネです.もう稔っている種子がだんだん太ってくる時期です.ススキが秋の到来を教えてくれます.

 

 

 

 

めっきりと日射しが長くなってきています.

 

 

黄金色の穂はもう刈り頃です. 黄金色に輝く水田.薄日なのに輝くばかりです.

 

 

 

 

 

ここでは棒がけを行って天日乾燥をしています.

 

 

こちらも........

 

 

機械で収穫作業中でした.

 

Tugaru:イネの一年(10月)


 

更新2001.11.22

 

 

ここももう終わり,あとは冬をまつばかりです.

 

こちらは....

 

 

 

 

天日干しのイネの取り入れもおわりました.さあ,冬の田圃はどうなるのでしょうか.

 

Tugaru:イネの一年(2月)


 

更新2002.02.28

 

 

    

 

 

これが津軽の冬景色です.清廉で潔白.最近の大人の社会でみられなくなる心象風景の正反対の鏡なのかもしれません.

 

CSH(コールドスプリングハーバー)とマクリントック

 コールドスプリングハーバーはワトソンやトウモロコシを研究材料とした実験で”動く遺伝子”としてトランスポゾンを発見したマクリントックもいた研究所です.いまでも多様なゲノム研究が進んでおり,世界的にも有名な研究所の一つです.優雅な入り江の中に立てられた1つ1つの別荘のような建物の中に近代的な解析機器が取りそろえられ,日本人も含めて多様な国からきた研究者が研究しています

CSHはニュヨークシテイからメトロで1時間程度の距離にあるものの閑静な保養施設に囲まれた静寂な土地に位置している.しかし,その研究施設にはありとあらゆるハイテク技術の結晶である各種解析装置があり,動植物のゲノム研究が進められている.

 

 

 

ニュ-ヨークの街角.

メトロでNYからCSHもよりの駅であるSyosettoについたところ.CSH研究所のたたずまい.これらの古風な建物のなかに近代設備がつまっている.

CSHには世界各地から学生や研究者がきて短期長期の研究をおこなったり,会議に参加するために宿泊する施設が整っている.やすらぎのひとときをすごせるように,またいつでもコーヒーがのめるように食堂がある.

   

宿泊施設には簡単なベッドと机,シャワー施設があるが,快適に過ごせるように係りのヒトが掃除などをしてくれる.売店ではCSHで出版されている研究書からお菓子,みやげもののCSHTシャツまで売られている.

圃場もあり,ここではアラビドプシスやトウモロコシなどが育成されている.様々な遺伝子の解析がおこなわれているため,写真にみられるような突然変異体もある.

 

ここでトランスポゾンを発見したマクリントックはすでにこの世を去ったが,いまでも彼女の使っていたガーデンが残されている.