イネの“故郷”を訪ねて 1(2003年 科研海外学術・武田班)

 

11月2日

収穫祭を終えて翌日,晴れ.支度を調えて羽田へ.羽田から成田へは京急で移動.およそ2時間.急行で成田,成田から成田空港へ.未だに,警戒厳重な成田に入り夕食.ホテルへはリムジンサービスにて移動.日航ウインズへ.

 

11月3日

朝5時起きで支度.チェックアウトを6時にして6:30のバスで第一ターミナルへ.Abcカウンターにてスーツケースを受け取りチェックイン.シンガポール航空はスターアライアナス加盟.ANAにてマイレージ登録.

 現金をUSドルに換えて準備,本屋でビルマの竪琴を見つけたので機内で読むことにした.空き時間はスターバックスにて朝食.9時発なので1時間程度の余裕を持ってゲートへ.おみやげ用の日本のたばこを2カートン,インドのアルコール事情を知らないので小型のプラスチックボトルのウイスキーを購入.

成田―シンガポールは人が少ない.機内はがらがらで3人がけを各一人が占領する形になった.清潔な機内にてリーマグガイア,T2をみて過ごす.

6時間のフライトで予定通りシンガポールに16:25に到着,ここでトランジット.第二ターミナルのEゲートから中央のエンターテイメントホールへ.ここでインドルピーを両替.ここのおつりはシンガポールドル,S$.s$1の価値がわからないがカフェにてコーヒー,スコーンを注文してUS$4からs$のおつりをもらってレートがわかった.s$1はおよそ60円.

17:55まで原稿作成.いたるところにフリーインターネットがあり,混んでいる.時間になり.関空からの便を出迎えにFゲートへ.既に到着したばかりの人たちがこちらに向かってきていた.佐藤,湯氏を見つけて合流.接続便まで1時間.

 SQ408便に乗り換えるが,ここからはほぼ満席状態で印僑の人たちだろうか,インド系の人たちを交えてデリーへ.ここからさらに6時間あまり.

到着は日本時間の夜中の0時.空港はあまり新しくなく,寂れた様子であり,通関も10人程度で対応しているために時間がかかる.荷物受け取りに予想以上の時間がかかり,1時間すぎて自分の荷物がでてくる.先に出迎えのガイドを捜しに外へ.荷物受取所をでると両替所があり,しつこく声をかけてくる.それからロビー内にてINPACのサービスガイドRAVI-KUMARさんが待っていた.INPACの車はアンバサダー,インド国産の車.キュートだが3人と3つのスーツケースにはややせまい.デリー空港からニューデリーまでは15km,30min程度.真夜中の道を今日のホテル,HyattRegencyへ.道すがらKumarさんからデリーの方が市場などで賑やかであり,市外にはムガール帝国の城壁があるとの話を聞く.いまでもその名残かイスラム教の信者の数はかなりいるらしい.

HyattではLobbyrから上が1階,2階となる英国式.1階に部屋をあてがわれて休息.あまり眠れない.テレビではTV-JapanとMTVなど.

11/4

朝食は7時から,しかし日本ではその時間でも10時半と3時間半の時差の開きがある.5時には起きてしまう.荷支度をして軽く洗濯をする.7時に下に降りると既に朝食を食べている佐藤さんらがいた.ビュッフェスタイル.ただ,オムレツを頼んでみた物の,あまりお世辞にも良いと言えるレベルのものではなかった.果物はパイナップル,マンゴ,スイカなど.

 8時過ぎにはロビーに降りてきて,自分用のルピーを手に入れる.1000円でRs389.昨日のベルマンにはRs50をチップに渡したが,これでおよそ$1.ただ,生活水準と物価水準が理解できていない.これは市場で買い物をしてみないとわからないか.

8時半に迎えにきたKumarさんと合流してガイドの領収書にサインをしてもらう.またもやアンバサダーにて国内線の空港へ.

 昨夜の時点ではシッキムの入境書が佐藤,石川のみしかできていなかったことが判明.

一緒に手続きを開始したものの中国―インドの関係からか,湯さんのみ手続き中とのこと,シリグリ空港に出迎えにくることになっている地元旅行会社に直接連絡をしてくれるということになっている.最悪のケースは湯さんのみダージリンにて待機することになりそう.

国内線のチェックインは航空券を持っている人のみが空港内に入れるようになっている.警戒はかなり厳重.荷物検査をして,搭乗券引き換え後,bodyチェック.ここでライターなどを取り上げられる.別に送ってくれるそうだがこころもとない.案の定引き替えを忘れてしまう.

 機内までの待ち時間にBhutanのサッカー選手グループにあう.かなり小柄で高校生チームかと見誤るほど.1時間待ちで定刻の便に搭乗.4つあるゲートのどれから搭乗できるかは時間まで未定とのこと.ここには簡単な自動インスタント紅茶(Lipton)などの販売機程度しかない.

 機内も満席状態で我々は最後尾の31abc.100人のりの飛行機はまれにみるほどに席間のスペースを詰めているために,非常に窮屈である.離陸後,窓からはヒマラヤの山々が衝立の様にデカン高原に立ちふさがっている様子がみてとれる.上空まであがると下界にはうすくもやが立ちこめているため地上の様子はあまりわからない.ただ,茶色の平野がみえるため,茶と白,そして空の青色の世界のみとなってしまう.2時間のフライトでお昼がでてくる.機内サービスのジュースは塩入,200mlのペットボトルの水をもらう.機内食はベジタリアン用とチキンのいずれか.頼んでみたもののベジタリアン用は数が限られているのか出してくれなかった.

 12時にシリグリ空港へ.ここは軍施設なので撮影禁止.ここで入境のスタンプをパスポートに押されることになった.

荷物を受け取ると,そとのタクシー運転手の群れの中に.ようやくINPACと提携している旅行会社のガイドと落ち合うことができた.湯さんの件を聞くと,まだできていないとのこと.早くて明日の夜に合流となるということで,2大のWDに分乗して移動することになった.ガイドによるとダージリンは西ベンガルの州都であり,土地がないために全て茶園(TeaGarden)しかないようだ.この周辺には様々な熟期のイネが植えられているようだ.シリグリの街には最終日に1泊するので,ここを抜けて一路,バグドグラへ.途中のダージリンとの分岐点で湯さんの車と離れた.この近辺には水田と道の間にかなりの水たまりがあるが牛がたむろしているくらいで野生イネはみられない.

途中,みかんや洋梨の小さな実やバナナを屋台で買うことにした.レジ袋1つで合わせてRs39.バナナは青いがそれで十分に甘いとのこと.

途中から道の景色がお茶と水田から森林に代わり,猿がではじめる.この猿たち,シッキムの山道ではかなりの数を見かけることになった.

シリグリからの道はやがて山道になり,5時間.川を眼下にみながらの崖っぷちの道を進み,3時半入境所へ.途中,シッキムの地元飲料水工場(ビールなど)がみえてからテラス状の水田をみかけるようになった.

入境所は30程度で通過.ここから登りが険しくなり始める.すぐにみえたのはテラス状の水田に囲まれた新しい建物群.これは2001年に建築されたばかりのIT関連の工業大学だそうだ.シッキムは1975年にインドに併合されるまでは王国であり(国王はなくなったものの,国王の姉妹にあたる人の子供が継承権をもっているらしい),1つの枠内で全てをまかなっていたのだろう.さしずめここが学術中心のようになっているようで高校生から大学生まではこの街に住んでいるようだ.

    

ラオスに比べるとかなり,steep険しく,焼き畑のあるような斜面というわけにはいかないようだ.谷間に川が流れている.その両脇の上に道ができ,町が点在しているようだ.いたるところにKitKat(Nescafe)の看板にした(された)家をみかける.ここにきてからかなりの棚田を見かけるようになったが,今日は時間がないため明日からの調査に期待できそうだ.ここでも熟期が違うイネがあるようで,倒伏している刈り入れ時のイネから青いものまでの変異がみてとれる.

ここシッキムは首都を4回も変えているようでいまはバグドグラにあるそうだ.その天上の最上段にパレスがあるようだが一般人は立ち入り禁止とのこと.ガイドもここシッキムの出身だが,父親の事業のためにダージリンに転居したとのこと.やはり,西ベンガルのCapitolの方が仕事があるのだろう.このダージリンの料理は中国料理に近く,餃子のような食べ物やチャウメンのような物など,インドとは異なり,ブータンのような辛い物とも異なるようだ.ここにはケーブルテレビがあり,衛生放送があり,インターネットも導入されているようだ.

バグドグラには6時に到着.崖の道,両脇に所狭しと小型の建物が建ち並んでいる.かなりの建物と人が密集している.5-6階建てのビルが多いようだが,フロアが狭く,とてもエレベーターなど設置できるわけもないので,階段のみ.ビルの最上階に近いところが道に面している作りとなっている.陸橋もあり,そこを人が歩けるようになっているところもあった.ホテルに入るとパスポートと入境所をチェックして記帳.パイナップルジュースをいただく,これはおいしかった,数階下の部屋にチェックインしてここのレストランで食事.

タンドリーチキンにナン,地元コロッケに野菜カレーを注文.テラスの席に運んでもらった.

寒いながらも景色はよいようだ.ホラ貝のような変な音がするのでボーイさんに聞いてみると隣にショッピングセンターを建築中であり,その音だとのこと.もっともここにも僧侶が用いるホラ貝のような楽器はあるようだともいっていた.

地元ビールに,赤ワイン.しかし,赤ワインはポートワインのようなきつい甘みを持っていた.最後にお湯割りのウイスキーをいただいた.かなり,寒いのでシャツの上にパーカーを羽織っていても最後には体がかなり冷えていた.食事は2人でRs883.およそ2000円程度か.Rs50をチップとしておいておく.夜の9時には就寝.この原稿は3時起きで写真をまとめながら記録している.