DNA抽出に必要な機材例:

このような機材によりDNAを抽出できます.そのDNAを利用することでPCR法による特定箇所のDNA多型情報を比較することができます.

DNA抽出:

乾燥していない葉を液体窒素で粉砕することでDNA抽出を行います.抽出のためには,最低でも写真で示すような器具として,ピペットマン,滅菌してあるチップ(20ul,200ul, 1000ul),チューブ,チューブを立てるスタンド,細胞を凍らせてから破砕するためのビーズなどが必要です.ビーズによる破砕では写真に示すような破砕するための器具を必要します(株式会社トミー精工,ビーズ式細胞破砕装置など複数の機械が販売されている).

抽出されるDNAの由来は,植物の場合に葉緑体,ミトコンドリア,ならびに核ゲノムとなります.核のDNAは個体識別に利用可能であり,他のゲノムは基本的に母親由来であるため母系の追跡に利用可能です.得られたDNAはPCR(ポリメラーゼ鎖連鎖反応)により増幅して多型をみることができ,増幅となる標的配列は個体間で変化しやすい領域であるATATATなどの単純な配列の反復(SSR:Simple Sequence Repeat)やINDEL(Insertion/deletion)を用いることが多いです.その後は,電気泳動を行ってマーカーの多型を検出します.

DNA電気泳動の1つ1つ

 

 

いまは比較的コストが安くなったため,次世代シークエンサーによる全ゲノム情報の取得が可能です.150bpの配列が300bp程度離したところでのペアエンドリードとして入手できます.下はイネゲノムからランダムに情報を得た場合の例です.この塩基情報をもとに比較すべき配列として日本晴などの情報に比較することでDNA多型を見ることもできます.この方法をリシークエンスといいます.当研究室ではCLCGenomics-Workbenchを利用しています.

 

さらに,配列そのものを利用して特定配列の隣接領域を抽出する方法があります.極簡単なプログラムを国立遺伝学研究所の角谷先生にお聞きしてから,もっぱら愛用してトランスポゾン解析に利用しています.