\(a \) を底とする指数関数 \( y = a^x \) のうち,特にネイピア数 \(e\) を底とする指数関数 \( y = e^x \) の微分は $$\left(e^x\right)’ = e^x $$
となることを示す。
\( y = a^x\) の微分は定義から
$$ \frac{dy}{dx} = \lim_{h \rightarrow 0} \frac{a^{x + h} -a^x}{h} = a^x \lim_{h \rightarrow 0} \frac{a^{h} -1}{h}$$
ネイピア数の定義
指数関数の\(x = 0\) に微分系数(導関数の値)が特に \(1\),すなわち(\(a^0 = 1\) であるから)
$$\lim_{h \rightarrow 0} \frac{a^{h} -1}{h} = 1$$
になるような底\(a\) を特に \(e\) と書き,「ネイピア数」と呼ぶ。(この呼び方は数学畑でない私にとってはあまり一般的ではないかなぁ。20世紀の大昔の高校でもこの名前を聞いたことないし。あとで自然対数のところで,\(e\) を自然対数の底と呼ぶがこちらのほうが,馴染みがある。)
ネイピア数の定義を以下のように書くこともできる。$h \rightarrow 0$ の極限で $1$ ということは,極限を取る前は $1 + O(h)$ であることを意味する。ここで,$O(h)$ は $h$ の1乗以上の項という意味。
$h \rightarrow 0$ の極限で $O(h) \rightarrow 0$ になるから。
\begin{eqnarray}
\lim_{h \rightarrow 0} \frac{e^{h} -1}{h} &=& 1\\
\frac{e^{h} -1}{h} &=& 1 + O(h)\\
e^h -1 &=& h + h \cdot O(h) = h + O(h^2)\\
e^h &=& 1 + h + O(h^2)\\
e &=& \left(1 + h+ O(h^2)\right)^{\frac{1}{h}}\\
\therefore\ e &=& \lim_{h \rightarrow 0} \left(1 + h\right)^{\frac{1}{h}}
\end{eqnarray}
ここで \(O(h^2)\) とは \(h^2\) 以上の高次の項という意味である。
ネイピア数を底とする指数関数の微分
ネイピア数 \( e\) の定義とはつまり,
$$ \lim_{h \rightarrow 0} \frac{e^{h} -1}{h} = 1$$ である。この \(e\) を底とする指数関数の微分は導関数の定義より,
$$\frac{d}{dx} e^x = \lim_{h \rightarrow 0} \frac{e^{x+h} -e^x}{h} = e^x \lim_{h \rightarrow 0} \frac{e^{h} -1}{h} = e^x \cdot 1 = e^x$$すなわち $$\left(e^x\right)’ = e^x $$
指数関数のグラフ
参考:指数法則
- \(a^x\,a^y = a^{x+y}\)
- \(\displaystyle \left(a^x\right)^y = a^{xy} \)
- \( (a b)^x = a^x\, b^x\)