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対数関数の微分

指数関数の逆関数である対数関数のうち,特に \(e\) を底とする指数関数である「自然対数」\(\log_e x\) の微分は
$$\frac{d}{dx} \left(\log_e |x| \right) = \frac{1}{x} \qquad (x \neq 0)$$

となることを示す。また,対数関数を使って,任意の「実数」 \(r\) を指数とする「べき関数」\(x^r\) について以下が成り立つことも証明される。

$$ (x^r)’ = r\, x^{r-1}$$


対数関数とは指数関数の逆関数。

\(a\) を底とする指数関数 \(y = a^x \) の逆関数を(\( x \) について解いて)\( x = \log_a y\)  と書き,\( a \) と底とする対数関数と呼ぶ。(\(y > 0 \))

特に,\(e \) を底とする対数関数を(あらためて \(x\) と \(y \) を入れ替えて \(y = \dots\) の形の関数として)
$$ y = \log_e x \ \  ( x > 0)$$と書き,「自然対数」と呼ぶ。これは(\(x\) と \(y \) を入れ替えたので)\(x = e^y\) の逆関数である。自然対数の微分は,逆関数の微分法を使って,
$$\frac{d}{dx} \left(\log_e x\right) = \frac{dy}{dx} = \frac{1}{\frac{dx}{dy}} = \frac{1}{\frac{d e^y}{dy}} = \frac{1}{e^y} = \frac{1}{x}$$

上記は \(x > 0\) でのみ定義される。\(x < 0\) については,\(\log_e (-x) \) が定義され,\( u = -x \) として合成関数の微分法を使えば
$$\frac{d}{dx} \left(\log_e (-x)\right) = \frac{d}{du}\left(\log_e u\right) \cdot \frac{du}{dx} = \frac{1}{u} \cdot (-1) = \frac{1}{x}$$ まとめると,
$$\frac{d}{dx} \left(\log_e |x|\right) = \frac{1}{x}\qquad (x \neq 0)$$

自然対数の表記

自然対数はよく使われるので,底 \(e \) の表記を省略して書くこともある。また,業界によっては底を省略すると常用対数 \(\log_{10} \) であるとする場合もあるので,はっきり区別するために,\( \ln \) (\( n\)  は natural の \( n\))と書く場合もある。(私はこちらをよく使う。)

$$  \log_e x = \log x = \ln x$$

べき関数の微分:ふたたび

有理数だけじゃなく,任意の「実数」 \(r\) を指数とする「べき関数」\( x^r\) について
$$(x^r)’ = r\,x^{r-1}$$

証明:

両辺の自然対数をとると,$$\log y = \log (x^r) = r \log x$$ \(x\) で微分して
$$ \frac{d}{dx} \left(\log y\right) = \frac{1}{y} \frac{dy}{dx} = r \frac{1}{x} $$
$$\therefore\ \ \frac{dy}{dx} = r \frac{y}{x} = r \frac{x^r}{x} = r x^{r-1}$$

参考:対数法則

  1. \( \log (x y) = \log x + \log y \)
  2. \(\log (x^y) = y \log x \)
  3. 上記 1. と 2. を使うと,\(\displaystyle \log\left(\frac{x}{y}\right) = \log x -\log y\) も簡単に証明できる。

以上は簡単のために底を \(e\) 決め打ちにして書いたが,一般の底 \(a \) でも同様に成り立つ。

証明は,\(y = \log x\) が \( x = e^y \) の逆関数であることから
$$ x = e^y = e^{\log x} $$ であることを使うと,
$$ e^{\log (x y)} = x y = e^{\log x} \, e^{\log y} = e^{\log x + \log y}$$
$$ e^{\log (x^y)} = x^y = \left( e^{\log x} \right)^y = e^{y \log x}$$

対数関数のグラフ