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まとめ:初等関数の微分

べき関数の微分

任意の実数 $r$ を指数とする「べき関数」\(x^r\) について,
$$(x^r)’ = r\,x^{r-1}$$

指数関数の微分

ネイピア数 \(e\) を底とする指数関数 \( y = e^x \) の微分は $$\left(e^x\right)’ = e^x $$

対数関数の微分

「自然対数」\(\log_e x\) の微分は
$$\frac{d}{dx} \left(\log_e |x| \right) = \frac{1}{x} \qquad (x \neq 0)$$

自然対数の表記は底を省略して \(\log x\) と書いたり,「自然」対数であることをはっきりさせるために \(\ln x\) と書いたりする。

三角関数の微分

弧度法(ラジアン単位)で \(x\) を表すと,
$$(\sin x)’ = \cos x, \quad (\cos x)’ = -\sin x, \quad (\tan x)’ = \frac{1}{\cos^2 x}$$

逆三角関数の微分

逆三角関数 \(\sin^{-1} x , \cos^{-1} x, \tan^{-1} x \) の微分。
$$\left(\sin^{-1} x\right)’ =  \frac{1}{\sqrt{1-x^2}}, \quad \left( \cos^{-1} x \right)’= -\frac{1}{\sqrt{1-x^2}}, \quad \left( \tan^{-1} x \right)’= \frac{1}{1 + x^2}$$

逆三角関数は三角関数の逆関数である。定義をしっかり理解すること。

双曲線関数の微分

三角関数と紛らわしい表記の「双曲線関数」の定義。
$$\cosh x \equiv \frac{e^x + e^{-x}}{2}, \quad \sinh x \equiv \frac{e^x -e^{-x}}{2}, \quad \tanh x \equiv \frac{\sinh x}{\cosh x}$$ 双曲線関数の微分は

$$(\cosh x)’ = \sinh x, \quad (\sinh x)’ = \cosh x, \quad (\tanh x)’ = \frac{1}{\cosh^2 x}$$

逆双曲線関数の微分

逆双曲線関数の定義と微分。逆双曲線関数の表記は,

$$ \cosh^{-1} x, \quad \sinh^{-1} x, \quad \tanh^{-1} x$$

双曲線関数は指数関数 \(e^x\) を使って定義されていたので,双曲線関数の逆関数である「逆双曲線関数」は指数関数の逆関数である自然対数を使って以下のようにも表される。

\begin{eqnarray}
\cosh^{-1} x &=& \log\left( x + \sqrt{x^2 -1}\right) \\
\sinh^{-1} x &=& \log\left( x + \sqrt{x^2 +1}\right) \\
\tanh^{-1} x &=& \frac{1}{2} \log\left(\frac{1+x}{1-x}\right)
\end{eqnarray}

逆双曲線関数の微分は

 

$$(\cosh^{-1} x)’ =  \frac{1}{\sqrt{x^2-1}}, \quad(\sinh^{-1} x)’ =  \frac{1}{\sqrt{x^2 + 1}}, \quad (\tanh^{-1} x)’ =  \frac{1}{1-x^2}$$

逆双曲線関数とは双曲線関数の逆関数。定義をしっかり理解すること。

ちなみに,双曲線関数だけでもあまり見かけないのに,さらに逆双曲線関数なんかいったいいつどこで使うんだと思うかもしれない。以下のページを参照。こんなところで,宇宙年齢が 138億年であることを理解するために,逆双曲線関数 $\tanh^{-1} x$ が使われるんですよ。

宇宙年齢 $t_0$ は

$$t_0 = \frac{1}{H_0} \times \frac{2}{3(\sqrt{1-\Omega_{\rm m} })}\tanh^{-1} \sqrt{1-\Omega_{\rm m} }$$