理工系の数学B

(地球環境防災)学科1年前期の授業。主に1変数の微分・積分。微分積分は,定義だ証明だなどとぐずぐず言ってないで,とっとと学生にたくさん問題を解かせるべきだ… などという声もあるだろうから,真逆に,定義と証明だけ理解していれば,あとは小難しい計算は Maxima で全部解かせればよし!というスタンスで授業をやってみた。

このセクションの構成

導関数の定義

1 変数 \(x\) の関数 \(y = f(x) \) の「導関数」とは

$$ \frac{df}{dx} \equiv \lim_{h \rightarrow 0} \frac{f(x + h) – f(x)} {(x + h) – x} = \lim_{h \rightarrow 0} \frac{f(x + h) – f(x)} { h}$$

つまり,変数 \(x\) が \(x\) から \(x + h\) に変化するとき,関数 \( f(x)\) の変化分 \( f(x + h) – f(x) \) を変数 \( x\) の変化分 \( (x+h) – x = h\) で割った変化率の \(h \rightarrow 0\) の極限。

微分法の公式

主な公式

  • \(\displaystyle \left\{ f(x) \pm g(x) \right\}’ = f'(x) \pm g'(x) \)
  • \(\displaystyle \left\{ c f(x) \right\}’ = c f'(x) \)  (\(c\) は定数)
  • \(\displaystyle \left\{ f(x)\, g(x) \right\}’ = f'(x)\,g(x) + f(x)\,g'(x) \) (ライプニッツルール)
  • \(\displaystyle \left\{ \frac{1}{g(x)} \right\}’ = – \frac{g'(x)}{\left\{g(x)\right\}^2} \)
  • \(\displaystyle \left\{ \frac{f(x)}{g(x)} \right\}’ = \frac{f'(x)\,g(x) – f(x)\, g'(x)}{\left\{g(x)\right\}^2} \)
  • べき関数の微分

    正の整数 \(n\) に対して,$$(x^n)’ = n\, x^{n-1}$$ は知っているとして,正にかぎらず,任意の整数についても同じ微分の公式が成り立つこと,さらには整数でなくても,有理数(整数分の整数)乗のべき関数でも,最終的には任意の実数 \(r\) について$$(x^r)’ = r\,x^{r-1}$$となることもわかると思う。(\(r\) が任意の「実数」の場合は,後で証明する。)

    指数関数の微分

    \(a \) を底とする指数関数 \( y = a^x \) のうち,特にネイピア数 \(e\) を底とする指数関数 \( y = e^x \) の微分は $$\left(e^x\right)’ = e^x $$

    となることを示す。

    対数関数の微分

    指数関数の逆関数である対数関数のうち,特に \(e\) を底とする指数関数である「自然対数」\(\log_e x\) の微分は $$\frac{d}{dx} \left(\log_e |x| \right) = \frac{1}{x} \qquad (x \neq 0)$$

    となることを示す。また,対数関数を使って,任意の「実数」 \(r\) を指数とする「べき関数」\(x^r\) について以下が成り立つことも証明される。

    $$ (x^r)’ = r\, x^{r-1}$$

    三角関数の微分

    弧度法(ラジアン単位)で \(x\) を表すと, $$(\sin x)’ = \cos x, \quad (\cos x)’ = – \sin x, \quad (\tan x)’ = \frac{1}{\cos^2 x}$$

    となることを示す。

    逆三角関数の微分

    逆三角関数 \(\sin^{-1} x , \cos^{-1} x, \tan^{-1} x \) の微分。 $$\left(\sin^{-1} x\right)’ = \frac{1}{\sqrt{1-x^2}}, \quad \left( \cos^{-1} x \right)’= -\frac{1}{\sqrt{1-x^2}}, \quad \left( \tan^{-1} x \right)’= \frac{1}{1 + x^2}$$

    を示す。

    双曲線関数の微分

    三角関数と紛らわしい表記の「双曲線関数」の定義とその微分。 $$\cosh x \equiv \frac{e^x + e^{-x}}{2}, \quad \sinh x \equiv \frac{e^x – e^{-x}}{2}, \quad \tanh x \equiv \frac{\sinh x}{\cosh x}$$$$(\cosh x)’ = \sinh x, \quad (\sinh x)’ = \cosh x, \quad (\tanh x)’ = \frac{1}{\cosh^2 x}$$

    逆双曲線関数の微分

    逆双曲線関数の表記は, $$ \cosh^{-1} x, \quad \sinh^{-1} x, \quad \tanh^{-1} x$$ または $$ \mbox{arcosh } x, \quad \mbox{arsinh } x, \quad \mbox{artanh } x$$微分は,

    $$(\cosh^{-1} x)’ = \frac{1}{\sqrt{x^2-1}}, \ \ (\sinh^{-1} x)’ =  \frac{1}{\sqrt{x^2 + 1}}, \ \ (\tanh^{-1} x)’ =  \frac{1}{1-x^2}$$

    逆三角関数のときには \(\arccos x\) のように \(\bf\mbox{arc}\)「アーク」だったが,逆双曲線関数は\(\bf\mbox{area}\) の略である \(\bf\mbox{ar}\) と書くべきであり,\(\mbox{arc}\)「アーク」と書くべきではない。

    まとめ:初等関数の微分

    高階導関数

    テイラー展開

    \(f(x)\) が \(x = a\) を含む区間で微分可能であるとき,以下のように展開できる。これを「\(x = a\) のまわりのテイラー展開」と呼ぶ。 \begin{eqnarray} f(a + x) &=& f(a) + f'(a)\, x + \frac{f^{”}(a)}{2!}\, x^2 + \cdots + \frac{f^{({n})}(a)}{n!}\, x^n + \cdots\\ &=& f(a) + \sum_{k=1} \frac{f^{(k)}(a)}{k!}\, x^k \end{eqnarray}

    人類の至宝:オイラーの公式

    (あんたの公式ではなく)オイラーの公式とは,

    $$e^{i \theta} = \cos \theta + i \sin \theta$$

    (大人になって)オイラーの公式がわかるようになると,アイで結ばれた密接な関係もわかるようになります!?

    不定積分

    微分の逆演算としての不定積分。

    微分は与えられた関数から,その導関数を求める。(不定)積分とは,導関数が与えられたときに,微分する前のもとの関数を求めること。その意味で,微分の逆演算。

    定積分とは

    定積分の定義

    区間 \([a, b]\) における \(f(x)\) の定積分を以下のように表す。$$ \int_a^b f(x) \, dx = \Bigl[ F(x) \Bigr]^b_a \equiv F(b) – F(a)$$また,$$\int_a^b f(x) \, dx = \int_a^b f(t) \, dt = \int_a^b f(*) \, d*$$のように \(*\) の部分の変数のことを「積分変数」というが,この積分変数にはどんな変数を使ってもよい。

    置換積分

    積分変数 \(x\) をうまく変換すると,積分の計算が簡単になる場合がある。

    部分積分

    部分積分のキモ

    被積分関数が2つの関数の積で表されているとき,どちらか片方が簡単に積分できて(そちらを \(f'(x)\) として),どちらか片方の微分が簡単にできる場合なら(そちらを \(g(x)\) として) $$\int f'(x) g(x) \,dx = f(x) g(x) – \int f(x) g'(x)\, dx$$

    定積分の場合は, $$\int_a^b f'(x) g(x) \,dx = \Bigl[ f(x) g(x) \Bigr]_a^b – \int_a^b f(x) g'(x)\, dx$$

    有理関数の積分

    $$f(x) = \frac{2 x^3 + 3 x^2 – 2 x – 1}{x^2 + x – 2}$$

    のように,\(\displaystyle \frac{多項式}{多項式}\) の形になっている関数を有理関数という。

    有理関数を積分する際は,部分分数に展開してから積分する。

    上記の \(f(x)\) の場合は,分子の次数が分母より高いのでまず割り算してから残りを部分分数に。

    sin 𝑥, cos 𝑥 の有理関数の積分

    例えば,\(\displaystyle \frac{(\sin x)^2}{1 + \cos x + 2 \sin x}\) のような,\(\sin x\) と \(\cos x\) の有理関数の形の関数の積分。

    無理関数の積分

    多項式の平方根などの無理関数を含む場合の積分。必ず積分できるというわけではないが,置換積分などによって積分できるいくつかの例をあげておく。(無理関数の積分は無理です!なんで言わずに… )

    広義の積分

    \(\displaystyle \int_a^b f(x) \,dx\) において,被積分関数 \(f(x)\) が \([a, b]\) で有界でなかったり連続でなかったりする場合や,\(a \rightarrow -\infty\) あるいは \(b \rightarrow \infty\) のような無限積分の場合。

    積分:いくつかの応用

    Maxima-Jupyter で微分

    Maxima-Jupyter でテイラー展開とオイラーの公式

    Maxima-Jupyter で積分