シークヮーサーには沖縄の方言で多様な呼び方があります.

 

大西先生の生物文化多様性の検証に関するプロジェクトで2013-2014年に沖縄のシークヮーサーを調査しました.

そのときにDNAマーカー開発を行ってシークヮーサーの葉緑体ゲノムを再構築しました.オレンジのゲノムがあったため,それをもとにリシークエンスするとともに,de-novo解析でコピー数の高い配列をもとに構築しました.

C. depressa Complete chloroplast genomeとして160,120bp(晩生シークヮーサーMM2,  LC147381)

Mas, Wase,Okuも解読済みでOku :  LC218435として登録しています.

 

そのデータを利用することでINDELマーカーを作成できます.

このように在来種を識別して多様性が調査できました.また,核のマーカーによる多様性評価はオレンジのマーカーのうち,一部が適用されるものがあり,次世代シークエンサーで得られたリードからも作成できました.その結果,多様性は野生種に多く,シークヮーサーの栽培が集約的になっている大宜見などは一部の優良品種の後代がアポミクシスで増幅されていること,奥地区で多用であることを示すことができました.

こちらはいくつかの葉緑体INDELマーカーのデータからその組合せで多様性を評価したものです.北部で多様なタイプのあることがわかります.

核マーカーでも同様です.大宜見では多様性が低く,ほぼ同一のものが栽培されていることを示しています.これはある時期に子供たちに手伝ってもらって3000個体を種子から個体にして増殖したためでしょう.シークヮーサーはアポミクシスを示すため,種子のほぼ8割程度が母親の細胞から発生していることに由来しています.

 

これらの成果はシークヮーサーの知恵(京大出版)にて報告させていただきました.論文は,

 

Ishikawa, R., N. Badenoch, K. Miyagi, K. Medoruma, T. Osada, M. Oonishi. (2016) Multi-lineages of of Shiikuwasha (Citrus depressa Hayata) evaluated by using whole chloroplast genome sequences and its bio-diversity in Okinawa, Japan. Breed. Sci. 66:490-498. (査読有)

Dinh Thi Lam and Ryuji Ishikawa (2018)Molecular discrimination of landraces of Citrus species in the Okinawa,Japan. Genet. Resour. Crop Evol. 66:321−333.(Published online: 21 Nov 2018) https://doi.org/10.1007/s10722-018-0710-x()

などです.