バナナの種
バナナはMusa属の複数の種の交雑により栽培化が進みました.1つはacminata,よくAゲノムを持っていると標記されます.BarbisianaはBゲノムとなります.2倍体が基準なので野生バナナはAAゲノムかBBゲノムを有しています.そのうちBBゲノムの野生種には糸芭蕉も含まれます.野生種は栄養繁殖としてサックと呼ばれる分げつから増やすことができます.
一度,東南アジアで電信柱のようなサックを植えているところをみたことがあります.それ以外では種子で増やすこともできます.バナナの種子とはどのようなものでしょう.
一般的に食用であり,日本でよく見られるバナナはAAAゲノムを有するキャベンデッシュです.種子がないため繁殖はサックからのみとなります.
写真にあるのは糸芭蕉の実です.
青いバナナの中身をみると硬い身の中に黒い種子がみられます.
とても食べられるものではありません.しかし,糸芭蕉も完熟したときには黄色い実をつけます.中身も柔らかくなり,種子があるものの食べられました.やや甘みのあるとろりとした果実でした.おそらく野生種でも昔は食べられていたのではないでしょうか.そのうち3倍体や単為結果の種子なしバナナができたことで栽培化が一気に進んだのでしょう.
一度だけ栽培バナナから種子をみつけたことがあります.ミャンマーでは車で移動するのでいつもバナナをかって非常時の食料にしていました.水とバナナは必需品でした.
買い出しのため丸みをおびたバナナを屋台でかったときのこと,最初に1つと思って食べたら...ガッリ! と音がするではないですか.歯が欠けたのかと思ってだしてみると黒いものが.
それがバナナの種子だと思ったので数秒後でした.そういえば千葉大の中村先生がバナナの研究をしたときに大企業がバナナの種子なら10万で買ってくれるよといっていたのをおもいだしました.さて,あの種子はどこにいったことでしょう.
いままで東南アジアで食したバナナは数百本.それで1つですからね,11本の染色体が運よく減数分裂して1/2^11で1ゲノム分が運よく片方の細胞に伝達され,それが3組のゲノムで生じたときに生殖力のある配偶子ができるのでしょうか・