常時開花型ークワーサー,四季なりといえるシークワーサーは新たな品種として期待される重要遺伝資源です.現在,品種登録に向けて農業形質データの取得を行っています.

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石川隆二 : 地域遺伝資源による次世代の作物育種-シークヮーサーにみる育種科学の貢献のありかた.日本の科学者 59(9)Sep, 2024.

石川隆二 (2016) 第1章 奥で保存活用されるシークヮーサーの知恵(大西正幸・宮城邦昌 編著)環境人間学と地域 シークヮーサーの知恵 やんばるの「コトバ-暮らし-生きもの. pp.33-66,京大出版会,京都,日本.ISBN: 9784814000258 発行年月: 2016/03

現地でお世話になった糸満さんと宮城さん.現地で枯死した晩生型のシークワーサーの苗木を弘前大学から現地に返還しました.

 

 

概要:

  • 通常は4月に開花して,9月から緑の果実で酸味の強い青切りシークヮーサーがでまわり,1月に“みかん色”になる完熟が沖縄県内でのみ流通する.
  • 国頭村奥地区の地域の方の協力により,9月に青いままだが糖分が高まる早生型,3月に熟する晩生型,4月だけでなく常時開花する四季成り型を見出した.
  • 現地の農家の高齢化により晩生型の原木が枯死したため,今回,弘前大学に取り置いていた原木のクローンを現地に里帰りさせることとした.
  • シークヮーサーは在来種があるものの品種としては唯一種子なしの仲本シードレスのみが登録されている.今後は,現地の有用遺伝資源を品種登録化する事業を現地の農家と協力してすすめることとしている.

 

背景と経緯:

シークヮーサーは沖縄の在来カンキツであり,現地ではさまざまな名前で呼ばれる在来種があったとされる.一方,文化多様性の減少により,方言の消失とともに地域の固有種の消失が懸念される.そのため,総合地球環境学研究所のプロジェクトの1つとして,大西先生が代表して言語多様性と生物多様性の関連性を評価する研究が行われた.弘前大学からは農学生命科学部の石川 隆二が参加し,これまでシークヮーサーの遺伝資源解析をすすめてきた.研究成果は「シークヮーサーの知恵」(京大出版会),その他の科学論文として公表されてきた.その研究成果の1つが,沖縄県本島の北部における野生集団が最も高い多様性を示し,栽培集団としても沖縄県国頭村地区に最も高い多様性が認められた.通常は4月に開花して,9月から緑の果実で酸味の強い青切りシークヮーサーがでまわり,1月に“みかん色”になる完熟が沖縄県内でのみ流通する.国頭村奥地区の地域の方の協力により,9月に青いままだが糖分が高まる早生型,3月に熟する晩生型,4月だけでなく常時開花する四季成り型を見出した.現地の農家の高齢化により晩生型の原木が枯死したため,今回,弘前大学に取り置いていた原木のクローンを現地に里帰りさせることとした.