胚乳細胞の葉緑体前駆細胞であるアミロプラストに蓄積したデンプン結晶の構造をみることができます.

まずは,青森県の代表選手,正常ウルチ個体の全体像,x20

中心は胚乳形成の始まるところ,胚乳中心です.

外側のこふん層は異なる細胞構造となります.

x500拡大して,胚乳細胞の中に入っているアミロプラストや,細胞壁がとれている場合にみられるそのデンプン構造(結晶)がみられます.この構造がしっかりしていることでみためも透けてみえるおこめとなります.インド型がクリアにみえるのもこの構造の違いなのでしょう.

 

そして,x3000倍にするとより結晶構造がきれいに見えます.これが対照画像です.つぎに当研究室で得られた粉質米などをみてみます.

 

これは下に示した化学変異原処理で育種をすすめている胚乳変異体の細胞を高倍率でみたところです.正常体に比較して隙間があるため空気による光の透過具合で白濁しているところが細胞の構造異常によるものであることがわかります.

下はEM3変異体,結晶構造がウルチと異なります.デンプン構造が崩れやすくなっているため米粉利用に期待できます.現在,収量性が高いものを新たに学生実験で選抜できています.

 

次はEM4,こちらもより小さいデンプン構造になっています.外観は白い粉質米です.

 

 

ではモチはどうなのでしょう.

まずは,8班が見つけてくれた香り米からのモチ系統,もちろん多収系統からのモチです.

ヨードヨードカリによる染色でもウルチは紫,モチは赤褐色になります.教科書通りですね.では,拡大してみましょう.

 

X1500,X3000にしてようやく小さい隙間がみえてきます.モチがはぜるということは,水気を失って完熟した胚乳が白く見えることです.このように微細構造では穴があいているため,空気の層がモチの胚乳を乳白色にきれいにみせてくれているようです.