世界には2つの栽培イネ,アジアイネとアフリカイネがあります.しかし,オーストラリアでは独自な栽培化が行われておらず,いまアジアイネを南部の温帯地域で栽培しています.一時期,北部のハンプティダンプティで栽培試験がされましたが渡り鳥に壊滅的な食害を受けて中止されました.近辺にはいたるとろこにクロコダイルがいるため,水田に入るにも命がけだったことでしょう.
いずれその様子を投稿します.
さて,
オーストラリアの固有種であるメリディオナリス種以外にも種子が大きいJpn2(Jpn3~いくつかのサイトで私たちが採取;鹿児島大学の一谷先生や当学部の田中克典先生も同行)サイトなどから採取して研究をすすめています.
実際の現場では,乾期にしか足を踏み入れられませんが,写真のようにみずたまりに異なる種が同所的に生息していることが多いです.水を好む多年生の野生イネであるルフィポゴンは水辺の近くにいることがわかります.
この上の写真がJpn2サイトです.ここにはJpn2系統のみ生息しており,水が減少するとそれにそって内部に移動します(節間を伸ばして,節からシュートや根をだすことで個体として生き残る).
写真でみれるようにメリディオナリス種は葯が短く,自殖優先の野生イネです.形態的には葯が長いことや穂の形態で識別できるものがルフィポゴン種です.しかし,このオーストラリアのルフィポゴンはアジアの同種とゲノム構造で興味深い系統分化をしています.
互いに生殖隔離機構を発達させており,交雑してF1ができてもF2種子が実りません.
このため生物種として考えられるJpn2から戻し交雑(鹿児島大学一谷先生作出)により遺伝子導入を行いました..