乳酸菌が作る香りの世界 – 発酵乳製品の魅力を科学する

皆さんは,チーズやヨーグルトなどの発酵乳製品から漂う芳醇な香りに魅了されたことはありませんか?私たちの食卓に欠かせない発酵乳製品。その素晴らしい香りについてご紹介します。

乳酸菌と香りの関係

乳酸菌は発酵の過程で,様々な芳香性物質を生み出します。これらの物質が特有の香りを作り出しているのです。

主な芳香性物質

  • ジアセチル:バターのような香り
  • アセトアルデヒド:フルーティーな香り
  • メチルブタナール:ナッツのような香り

香りが持つ意味

発酵乳製品の香りは私たちの食欲を刺激し,おいしさを演出します。この香りは時として単一の芳香性物質から生まれることもありますが,多くの場合,複数の芳香性物質が絶妙なバランスで混ざり合い,それぞれの乳製品特有の香りを形成しています。私たちの研究室では,個々の芳香性物質に焦点を当て乳酸菌がどのような環境下でその物質を効率的に生成するのかを研究しています。今年大学院を修了する学生は,メチルブタナールの研究に取り組みました。

乳酸菌が作り出す香り。それは単なる「良い匂い」ではなく,私たちの食文化に深く関わる大切な要素なのです。次に発酵乳製品を口にするとき,その香りにも注目してみてはいかがでしょうか。