みんなのコンサート第2回を開催しました

去る2020年12月18日(金)、ヒロロ4階の市民文化交流館ホールにて、宮本香織さんのピアノ演奏による「みんなのコンサート」第2回を開催いたしました。
防疫のため、300名収容の会場に45名様限定として、早々に満席のご予約をいただきました。

グランドピアノをフロア中央に置き、取り囲むように客席を配置してみました。ステージ上のピアニスト 対 客席の聴衆、ではなく、同じフロアでの一体感を演出できたでしょうか。

プログラムのテーマは、「音階」です。
「音階」は、隣り合う音を一方向に順番に鳴らしてゆくピアノ演奏の基本です。基礎練習として重要なだけでなく、旋律の一部としてもたいへんよく登場します。
そこで、華麗な音階が登場する曲を集めました。

1.モーツァルト:ピアノソナタ第16番第1楽章
始まってすぐに上がったり下がったり転がるような音階が出てきます。同じものが高さを変えて、後半にもう一度。

2.ブルクミュラー:《真珠》(『18の個性的な練習曲』より)
タイトルの「真珠」は、宝石の種類だけでなく、華麗なピアノ演奏を誉めるときの「真珠の粒のような」という慣用表現を指していると思われます。全体に音階がちりばめられています。

3.ショパン:「子犬のワルツ」

初心者から世界的な大ピアニストまで、もしかすると最も多くのピアニストに演奏されたショパン作品かも知れません。随所に行きつ戻りつする音階が挟まれ、曲の締めくくりには鍵盤いっぱいに駆け下りてくる音階が登場します。

4.サン=サーンス:《動物の謝肉祭》より
もとはオーケストラのための作品ですが、ピアノも楽団に含まれていて、舞台上のすみっこに置かれるのが普通です。幕開け《ライオンの行進》もピアノのファンファーレで始まります。今回はピアノ独奏版を聴いていただきました。
続いては《亀》。歩みの遅い亀が一生懸命に前へ進もうとしている様子が、なんと、ものすごくゆっくりとした《天国と地獄》(運動会の徒競走などでよく使われていますね)の旋律で表現されています。
さて、動物たちに交じって《ピアニスト》も出てきます。なにやら音階のような同じ音型を繰り返し練習しているようです。この曲は敢えて「下手に」弾かなくてはならないのですが、ピアニストにとって音階を不揃いに演奏するのはなかなか難しそう。
最後は、誰もがよく知る《白鳥》で優美に締め括りました。

5.ドビュッシー:《子供のために》より〈プレリュード〉

音階は、一音につき1本の指で順に鍵盤を押さえて弾くのが普通ですが、この作品では音階の究極の形態とも言うべき「グリッサンド」が使われます。指4本をそろえて関節側で鍵盤を押して進む奏法で、ピアニストにとっては、ちょっと手の痛い荒技です。しかし、その華麗さは一度聴くと忘れられません。
会場では、ご家族に寄り添ってのんびり過ごすお子さんや、音楽に合わせて身体を動かしたり少し歩いてみたりするお子さんもいらっしゃいました。皆さまに穏やかな気持ちでピアノを聴いていただけるように、今後とも工夫して参ります。
またのご来場を心よりお待ちしています!

※なお、本公演の様子が弘前市の制作するテレビ広報「元気!弘前」(1月30日)にて放映されました。ご来場の皆様には、撮影にご協力いただきありがとうございました。