2020年度の基礎物理学実験(3)~機械科学科

連載の最終回は、機械科学科の「基礎物理学実験」について述べます。
連載リンク→ 第1回 第2回

従来(対面授業)の実施形態

  • 最初の3週は座学を行う。実験は4週目からとなる。
  • 5題目を実施。
  • 1つの題目を2週で行う。受講者は1週目に実験室で測定を行い、2週目は別室で実験レポートを作成して提出する。
    • 2019年度は、実験レポートを電子ファイルとして作成し、電子メールで提出するようになっていた。
  • 受講者全体を2つに分ける。半数の受講者が実験室におり、残りの半数が前週の実験レポートを作成するという形になる。

2020年度(対面授業+メディア授業)の実施形態

本科目は後期に開講されます。前回述べたように、本学では後期の授業は対面授業として実施されましたが、結果的にメディア授業として行うことになった期間もありました。また対面授業においても、感染症対策を行うように求められました。

対面授業の対応

  • 換気を行う。
  • 受講者の密集を防ぐ目的で、実施題目を10題目に増やす。
    • 増やしたうちの2題目は実験テキストに載っていなかったので、それ用の手引き書を用意する。
    • さらに、1題目については所定の実験室とは別の部屋(たまたま実験室の近くにあった学科のゼミ室?)で行う。
  • 実験室に消毒液や手袋を用意し、各受講者の感染症対策を徹底する。また、終了後はスタッフにより使用した器具の消毒を行う。
  • 実験レポートは、MS Teamsの「課題」機能を用いて提出させる。

受講者は実験を行う前にエタノール系の消毒液で手指を消毒します。実験題目「固体の比熱」では直火を用いるので、手にエタノールが残った状態で着火しないようにとの注意が強調されていました。

また実施題目を増やす都合上、TAを増員したという話を聞いた記憶があります(それ用の予算がどこから出たのかは私のところではよくわかりません)。

メディア授業の対応

前回述べたように、対面授業を中断しメディア授業の形態で行う期間がありました。再掲します。

  1. 弘前市で感染クラスターが生じた、10月下旬から11月上旬にかけての約3週間(期間1)
  2. 冬休み明けの、1月前半の約2週間(期間2)

期間1については座学の期間があったものの、期間1と期間2で1回ずつ、実験(の代替)をメディア授業で行うことになりました。内容は、実験の原理や手順を(動画なども用いて)説明した後に、測定データを与えてそれについてのデータ処理を行うというものです(題目によっては追加の設問を用意しているものもありました)。このコンテンツは、5題目について用意されました。各回において、受講者を5分の1ずつ各題目に割り当てるという形です。

所感

この科目は、かつては80人が一斉に実験を行う仕様だったのですが、数年前から受講者の半分だけが実験室にいる形に移行していました。また、実験レポートの提出も電子ファイルの形で行うようになっており、偶然かもしれませんがここ数年は感染症対策と同じ方向で物事が進んでいました。

近年は5題目だけの実施となっていましたが、実験テキストには過去の名残で他に4題目が収録されていました。今回追加した5題目のうちの3題目が実験テキストに収録されていたものだったので、それらを実験テキストから外していなかったのはラッキーだったと言えるのかもしれません。それでも、2題目を新規に準備することになったという点ではなかなかの苦労があったのではないかと推測します。

実験中にゴム手袋を着用するというのは、生物系や化学系ではよく行われるのかもしれませんが、物理系ではなかなか行われないと思います。一見すると問題がなさそうですが、アナログ電流計を使う題目では、電流計の指針を覆う透明樹脂とゴム手袋の摩擦(接触?)によって静電気が透明樹脂に帯電し(←推定)、電流計の指示値が狂うという面白事件も起こりました。