年越しを前にしたおじいさんとおばあさん。おじいさんはあみがさを五つこしらえて町へ売りに行きます。年越し市は大賑わい。誰もおじいさんのあみがさには見向きもしません。
帰り道、おじいさんは、ふかふかと降る雪の中で鼻からつららを垂らす六体の地蔵さまに出会います。すかさず五つのあみがさがそして自分のあみがさをお地蔵さまにかぶせるおじいさん。
家に帰って眠りについたあとの正月の明け方、「よういさ、よういさ、よういさな」というそりひきのかけ声でおじいさんとおばあさんは目を覚まします。さてそのあとの展開はーー
おなじみの『かさじぞう』の民話。
白い雪の風景が暖かみのある墨のおおらかな線で描かれています。薄い墨の滲みと濃い墨の線、ところどころに差し込まれた青や緑や赤や黄色。
瀬田貞二のよどみのない口調を、赤羽末吉の挿絵がゆったりと包み込んでいます。
1961年初版。
※この投稿の画像は、出版社が一般に掲載を許可している範囲内のものです。無断転載はご遠慮ください。