はじめて雪を目にしたきつねの子は、朝目をさますと「あっ」とさけんで母さんぎつねに駆け寄ります。「かあちゃん、目になにかささった、ぬいてちょうだい、早く早く。」母さんぎつねはびっくりしますが、外の出て分かりました。夜のうちに雪がどっさり降って、その上からおひさまがキラキラしていたので、雪がまぶしく反射していたのです。
はじめての雪に喜ぶ子ぎつね。早速遊びに出かけます。ところが帰ってくると、手が冷たいことに気づきました。「おかあちゃん、おててがつめたい、おててがちんちんする。」母さんぎつねは、夜になったら町に行って、ぼうやに似合うような毛糸の手ぶくろを買ってやろうと思いました。
ところが、母さんぎつねは以前お百姓の家のあひるを盗もうとして、見つかって、命からがら逃げてきたことを思い出し、どうしても町の方に足を進めることができません。しかたなく、子ぎつねを1人で町まで行かせることになりました。
心配する母さんぎつね、町で人のやさしさに触れた子ぎつね――
新美南吉の『手ぶくろを買いに』が、どいかやによるあたたかな挿絵で素敵な絵本になりました。
白と黒のモノクロームを基調とした夜の雪景色に、淡くやさしい色が温かみを添えています。
いつ読んでも切なくなる冬の絵本。
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