作:安野光雅『かげぼうし』冨山房

作 安野光雅『かげほうし』冨山房

 

ひどい雪の降る寒い町に、マッチ売りの女の子が出てきました。ーおなじみの『マッチ売りの少女』のおはなしが、この絵本を通すと違った印象になっていきます。

野原のずっとずっと向こうには、ひみつのくにがありました。そこは「かげぼうし」の国でした。冬になって、太陽の出る日が少なくなると、暇になったかげぼうしたちが、世界のあちこちから帰ってきてお祭り騒ぎになります。そんな「かげぼうし」の国にたった一人、この国を自由に行き来できる人間がいました。見張り番でした。遠眼鏡で遠くを見張り、太陽が出そうになると鐘を鳴らして知らせるのが彼の仕事でした。そんな見張り番が姿を消して、「かげぼうし」の国では大騒ぎー

その頃、マッチ売りの女の子の前に、「げんきをおだし」と見知らぬ男が現れます。この男がマッチ箱を一箱買って、マッチに火をつけると、雪の上に二人のかげぼうしができました。ー

かげぼうしの国とマッチ売りの少女の雪降る町、二つの世界がつながっていきます。

 

※この投稿の写真は出版社の許可をとって掲載しています。