文:北 彰介、絵:太田大八『なんげえはなしっこしかへがな』BL出版

文:北 彰介、絵:太田大八『なんげえはなしっこしかへがな』BL出版

 

津軽地方に伝わる昔話を集めた絵本です。

冒頭、語り部さんの「なんげえはなしっこしかへがな」の言葉とともにお話がはじまります。

 

ミン ミン ミン となく蝉と、デデッポッポ となく山鳩のかけ合いが耳に楽しい「なぎくらべ」や、山の向こうに遊びに行こうとして ズルズルズル と途方もなく長い体を滑らせていった「へび」、村はずれの倉の中に作られた巣から ブンブンブン と生まれて出てきた何千匹もの「くまんばぢ」、そして岩から川に ドボン スイスイスイ と飛び込んでいく八万八千八百八十八匹の「かっぱ」、長いなが〜〜〜い「かみなりさまのふんどし」の話などなど、オノマトペの繰り返しが心地よいお話が収録されています。

 

弘前周辺には河童を「水虎さま」として祀る神社やお寺が点在しています。確かに、津軽平野を流れる岩木川周辺の平地では、かつては水害もかなりあったそうで、水辺に縁のある河童は特別な存在なのかもしれません。

 

赤い色が目を引く表紙ですが、中には美しい水彩による色とりどりの挿絵の世界が広がっています。モチーフの輪郭線もリズミカルな反復や流れるような曲線を示していて、耳にも目にも心地よい絵本です。

 

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