ある日、にわとりの娘さんが歩いていると、洋服屋のあひるさんが一枚のビラをくれました。
「かわいい こどもの ようふく やすい、やすい、とっても やすいよ」
にわとりの娘さんがお母さんにビラを渡すと、お母さんはさっそく娘さんと一緒に洋服屋さんに向かました。そして、「ねえ、あしたの あたんじょうびに これを きたら どうかしら」と言って、袖なしの赤いワンピースを娘さんに買いました。娘さんはとても気に入って、大喜び!夜になってベッドに入る時も、ワンピースを窓のところに吊るしてじっと眺めていました。
ところが!朝起きるとワンピースがありません。
お父さんの一案で、犬さんにワンピース探しをおまかせすることにしました。
ここから犬さんの面白おかしいワンピース探索がはじまります―
戦前から前衛美術団体「MAVO」を率いて活躍していた美術家の村山知義が、1929年に描いていた「ナクナッタ アカイヨウフク」の原画をもとに、妻である村山籌子が書いていたはずのストーリーを推測しながら、ご子息の村山亜土が絵本にしたものだそうです。女の子の「なくなったあかいようふく」を軸に、ユーモラスでのびやかなお話が展開していきます。
ニワトリをはじめとする動物たちの姿、表情、動作がどれも生き生きとしています。洗練されたペン画と彩色で彩られたページは、簡潔でありながらスタイリッシュなモダンアートそのもののように感じられます。
※この投稿の画像は、出版社が一般に掲載を許可している範囲内のものです。無断転載はご遠慮ください。