あの『酒呑童子』の物語の登場人物が野菜になりました!
京都の町に鬼が出没、娘たちをさらっていきます。娘たちを取り返そうと、屈強な武士たちが大江山に鬼退治に出かけることになりましたー
昔から語り伝えられてきた『酒呑童子』のおとぎ話。江戸時代の絵巻物などを見ると、かなり残酷な場面が描かれていたりもするのですが・・・、この絵本はまったくそんなことはありません!活躍するのは、金時人参や堀川ごぼうといった大きくて強そうな野菜たち。鬼はというと、なんと頭に角があるようにも見えるコンニャク芋です!そしてその描写の可愛らしくコミカルなこと!!同じ物語が、まったく違った新鮮なものに思えてきます。少し長いお話かな~と思いきや、あっという間に読み終えてしまいました。
とはいえ、昔の京の町並みや大江山に向かう道中の風景など、まるで狩野永徳の《洛中洛外図屏風》や鎌倉時代の絵巻物を見ているかのようで、古典的な日本美術の描法が目をひきます。横に長い絵本の見開きの特性がよく調和しています。可愛らしいだけではない、お話も挿絵もどちらも古典を下敷きにしつつ、説得力のある新しい絵本に昇華されています。
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