再話:チョン・ミジン、絵:イ・ジョンギュン、訳:おおたけきよみ『イワシ大王のゆめ』光村教育図書

再話:チョン・ミジン、絵:イ・ジョンギュン、訳:おおたけきよみ『イワシ大王のゆめ』光村教育図書

 

韓国のむかしばなし絵本です。

むかしむかし、東の海に三千年いきているイワシ大王が住んでいました。ある時、大王は不思議な夢を見ました。その内容は、

「体がぴょーんと天たかくとびあがり、すぐにぽとんとおちました。それから雪がふってきたとおもったら、つぎにおひさまがてりつけ、あつくなったりさむくなったりするのです。」

というものでした。ただならぬ夢を見たと思った大王は、夢占いがよくあたることで評判のハゼに夢の意味を聞こうと思い立ちます。ハゼは、遠い西の海に住んでいます。そこで大王は、ヒラメを呼び、けわしい道のりをこえてハゼを連れてくるように命じました。

なんとかハゼを連れ帰ることができたヒラメですが、大王はハゼに夢中です。なんのねぎらいの言葉もかけられなかったヒラメは、めらめらといかりがこみ上げてきました。

 

そんな折、大王が開いた宴会で、ハゼは大王の夢を占います。

「おおっ!そのゆめは、イワシの大王さまがりゅうにおなりになるゆめでございます。」

「体がぴょーんと天たかくとびあがり、すぐにぽとんとおちたというのは、りゅうになって天空をとびまわるということ。雪がふったり、おひさまがてりつけてあつくなったりさむくなったりするのは、きせつと天気をおさめる、ふしぎなりゅうの力をあらわしているのです」

それを聞いた大王は大喜びです。

このやりとりを見ていたヒラメはたまらなくなって、大王の夢を別に解釈してみせます――

 

そんなに大きな魚ではないイワシ。よく食卓に登場するイワシ。ヒラメの解釈は思わず笑いがこみあげてくるほど、とんちがきいています。おはなしの最後に加えられた、平たく目がよっているヒラメや、腰の折れたエビなど、海の生き物と特徴的な姿形の理由の説明も興味深く、はじめからおわりまで楽しく、おもしろく展開していく絵本です!

 

海の底のようすや、さまざまな姿の魚たちを描いた挿絵は、ポップで色鮮やかで見ているだけで楽しい気分になります。細やかで色彩豊かな魚のうろこ、いろいろな曲線がかさねられた波の形がおしゃれです。海の底から笑い声が聞こえてきそうな、明るく、素敵なデザインです。

 

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