Planck 2018 results から宇宙空間の物質密度を Maxima で計算する

Maxima を電卓として使って宇宙空間の物質密度を計算する例。Maxima でなくても掛け算割り算ができればなんでもいいです。

Planck 2018 の宇宙論パラメータ

Planck 2018 results の宇宙論パラメータは以下の通り。

\begin{eqnarray}
H_0 &=& (67.4 \pm 0.5) \ \mbox{km/s/Mpc} \\
\Omega_{\rm m} &=& 0.315 \pm 0.007 \\
\Omega_{\Lambda} &=& 1 – \Omega_{\rm m}
\end{eqnarray}

臨界密度

ここ に書いているように

$$
\rho_{\rm cr}\equiv \frac{3 H_0^2}{8\pi G}
$$

物質密度 $\rho$ は
$$\rho = \rho_{\rm cr} \Omega_{\rm m}$$から求める。

万有引力定数 $G$ は

$$ G = 6.674 \times 10^{-11} \, \frac{\mbox{m}^3}{\mbox{kg}\cdot\mbox{s}^2}$$

また,$H_0$ は別ページにまとめているように $s^{-1}$ の次元を持つので,適切に単位を合わせて計算すれば確かに $\rho_{\rm cr}$ は
質量密度 $\mbox{kg}/\mbox{m}^3$ の次元をもつことがわかる。

In [1]:
/* H0 の精度は,せいぜいこのくらい */
fpprintprec: 3$

au: 149597870700 * m$
/* Mpc だから 1E6 pc で,km だから 1E3 m。*/
Mpc: 648000/float(%pi) * au * 1E6$
km: 1E3 * m$

H0: 67.4 * km/(s * Mpc)$

Omega: 0.315$
G: 6.674E-11 * m**3 /(kg * s**2)$

rhoc: 3*H0**2/(8*float(%pi)*G)$
print("臨界密度は ", rhoc / (kg/m^3), "kg/m^3")$
print("宇宙空間の物質密度は ", rhoc * Omega / (kg/m^3), "kg/m^3")$
臨界密度は \(??? \times 10^{-??}\) kg/m^3
宇宙空間の物質密度は \(??? \times 10^{-??}\) kg/m^3

演習

現在の宇宙空間の物質密度は次のうちのどれに最も近いか。

  1. $1\,\mbox{cm}^3$ に電子が数個程度
  2. $1\,\mbox{cm}^3$ に陽子が数個程度
  3. $1\,\mbox{m}^3$ に電子が数個程度
  4. $1\,\mbox{m}^3$ に陽子が数個程度
  5. $1\,\mbox{km}^3$ に電子が数個程度
  6. $1\,\mbox{km}^3$ に陽子が数個程度

参考

  • 陽子 – Wikipedia によれば,陽子の質量は $1.672621898(21) \times 10^{-27}\,\mbox{kg}$
  • 電子 – Wikipedia によれば,電子の質量は $9.1093837015(28)\times 10^{−31} \,\mbox{kg}$