シュバルツシルト時空中の観測者の運動
- 参考:「シュバルツシルト時空中の粒子の運動」
重力以外の力を受けずに重力場中を運動する観測者(テスト粒子)は測地線上を運動する。
シュバルツシルト時空は球対称であるため,一般性を失うことなく運動を赤道面上
規格化条件
シュバルツシルト時空において,
(地上を想定)に静止している時計の進みを- 動径座標
に静止している時計の進みを - 動径座標
地点を運動する時計の進みを
とする。
このとき,運動する時計の進み
異なる地点に静止している時計の進みの比
- 参考:「重力場中の異なる地点での時間の進み方」
まず, 異なる地点に静止している時計の進み方の比は,既に説明したように
ローレンツ因子
- 参考:「ローレンツ因子」
- 参考:「運動している時計の遅れ」
次に,同じ動径座標
であるから,
運動する観測者の時間の進み
ということで,最終的には
円軌道の場合
- 参考:「シュバルツシルト時空中を円運動する観測者」
- 参考:「円運動する観測者の時間の進み方」
特に円軌道の場合には,
であり,これを代入すると,
円軌道でない場合
円軌道でない場合は,
したがって,4元速度の規格化条件
から,
ここで
はニュートン理論における軌道長半径に対応する。
これを代入すると,時間の進みは
円軌道でない場合は,
特に,1回転の間の時間平均をとると
- 参考「ケプラー運動の時間平均」
であるので
これを円軌道の場合と比べてみると…
さて,これはこれでおもしろいとして,
1つは,一般相対論的な測地線方程式は,円軌道でない一般的な場合は厳密に解くことができず,せいぜい
もうひとつは,
しかし,軌道が厳密には解けないとしても,時間の遅れにかかわるのは
特に,円運動以外であっても,一般的な有界運動(束縛運動)の場合には,
だから,話の順番としては
- 重力場中を運動する時計の遅れは(
はなんだと説明するのが面倒だから, として以下のように表記を変更して・あわせて)
- 円軌道のときには
が厳密に解けて
したがって
- 円軌道でない場合は厳密には解けないが
の1次までの近似解として
- これを代入すると
- 1周期平均すると…
- 円軌道でない場合にも有界な軌道の場合には
と を使って は厳密に書けて… - 時間の遅れは … と書ける!
- 特に
の1次まで展開すると,以前の結果を再現するので,今回我々が求めた式は以前の結果を特別な場合として含んだ,一般的な式になっている。 - ここで興味があるのは,たとえば
の2次までの展開はどうなっているのか,特に の1次までは,時間の遅れは楕円軌道の軌道長半径 に相当する量だけで書かれていた。高次の場合はどうなるのだろうか?