LANケーブルを自作してみた

一般に「LANケーブルを自作する」という時は,ケーブルそのものを自作するのではなく,既存のケーブルにコネクタを取り付ける作業を自分で行う,ということを意味します.ここでもその意味でのLANケーブル自作を行っています.身の回りのLANケーブルで最も標準的であると思われるCat5e(カテゴリー5e),あるいはCat5のケーブルに,RJ-45のコネクタを取り付けてみた,という話です.

動機

この作業を行うことにした動機は,以下の2点です.

  1. 学生実験室のPCの接続に長いLANケーブルが使われており,スパゲティ化していた.ケーブルを短くすることで配線を整理したいと,以前からぼんやり思っていた.
  2. 同僚がLANケーブル自作用の工具セットで作業しているのを見かけた.

つまり,思いつきです.

用具

ケーブルとコネクタはもちろん必要ですが,他に次のアイテムを用意しましょう.

  • LAN用圧着工具
  • (汎用の)ニッパー
  • LANケーブル用の皮むき工具
  • LANケーブルテスター

上の2つは必須だと思います.皮むきは汎用のニッパーでもできなくはありませんが,ちょっと面倒なのと,失敗が増えそうな気がします.

今回使わせていただいたLANケーブルの工具セット(サンワサプライLAN-TLKIT2)には,圧着工具,皮むき工具,ケーブルテスターなどが含まれていました.

手順

今回は既存の長いケーブルを短く切断して,切断した方の一端にコネクタをつけることにします.細かい手順は専門のサイトに任せて(本記事末尾の関連サイトを参照のこと),ここでは手順をダイジェストで紹介します.

まずは既存のケーブルを適当な長さに切断します.

断面を見ると,外側の(緑色の)被覆の中に8本の芯線が入っています(Cat6のケーブルでは2本ずつ仕切られているそうですが,Cat5のケーブルにはそういうものはありません).おっと,芯線はJISでは「心線」の表記が正式なようですが,「心線」が個人的にしっくり来ていないので,「芯線」の表記を使わせて下さい.

次に,外側の被覆だけを3~5cmほど剥きます.このときに,専用の皮むき工具を使うと便利です.ケーブルをはさんで1回転させます.力を入れて挟む必要はありません.

8本の芯線は2本ずつのペアでツイストされています(外部磁場の影響を抑えるためですね!).これをほぐして,所定の順番に1列に並べます(ケーブルによっては,これがなかなかの手作業になります).その並べ方には,T568A(TIA/EIA-568-A),T568Bという2つの規格がありますが,ここではT568Aに従っています.


それぞれの芯線が真っ直ぐになったら,8本の芯線をロードバーに差し込みます(ここではロードバー付きのRJ-45コネクタを使っています.ロードバーが付かないRJ-45コネクタも売られていますが,ロードバーがあった方が作業はしやすいようです).先端をパッツン状に切り揃えておくとやりやすいでしょう(写真では不揃いですが…).

差し込んだら,ロードバーをできるだけ根元まで押し込み,ロードバーから出ている芯線を切ります.

そしてコネクタを差し込み,圧着工具でガッチャンコしてできあがりです(圧着工具の前後を間違えないようにしましょう).

出来上がったら,テスターでそれぞれの線が導通することを確認するといいでしょう.

まとめ

今回作成したケーブルを実際に取り付けて,通信が正常に行われることを確認しました.手順を飲み込めば,5~10分程度,両端に取り付ける場合でも15分程度あればできます.学生実験室のLAN配線もずいぶんすっきりとしました.

Cat6のようなケーブル,あるいは長く(5mとか10mとか)引き延ばすようなケーブルではシビアな部分があるようですが,1m~2mぐらいで使うCat5eのケーブルであれば,普通に作れば相応の性能を発揮すると思います.

関連サイト