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重力赤方偏移

観測者の4元速度

観測者の4元速度 \(\boldsymbol{u}\) の成分 \(u^{\mu}\) は,以下のように線素から定義される固有時間  \(\tau\)
$$ds^2 = –  d\tau^2 = g_{\mu\nu} dx^{\mu} dx^{\nu}\quad (c=1)$$
を使って,以下のように定義される。
$$u^{\mu} \equiv \frac{dx^{\mu}}{d\tau}$$

\(\boldsymbol{u}\) は「大きさ」の2乗(自分自身との内積)が \(-1\) に規格化されている。
\begin{eqnarray}
\boldsymbol{u}\cdot\boldsymbol{u} &=& g_{\mu\nu} u^{\mu} u^{\nu} \\
&=& g_{\mu\nu} \frac{dx^{\mu}}{d\tau}\frac{dx^{\nu}}{d\tau}\\
&=& \frac{g_{\mu\nu} dx^{\mu} dx^{\nu}}{d\tau^2} \\
&=& \frac{-d\tau^2}{d\tau^2} \\
&=& -1
\end{eqnarray}
この式を,ときどき4元速度の規格化条件と言ったりする。

シュバルツシルト時空中の静止観測者

シュバルツシルト時空中に静止している観測者4元速度 \(u^{\mu}\) は(「静止」とは空間座標が一定ということだから)
$$ u^{\mu} = \frac{dx^{\mu}}{d\tau} = (u^0, 0, 0, 0)$$
また,規格化条件から
$$\boldsymbol{u}\cdot\boldsymbol{u}= g_{00} \left(u^0\right)^2 = -1, \quad\therefore \ u^0 = \frac{1}{\sqrt{-g_{00}}} = \frac{1}{\sqrt{1 – \frac{r_g}{r}}}$$

静止観測者が観測する光の振動数

4元速度 \(\boldsymbol{u}\) の観測者が観測する光の振動数 \(\omega\) は,特殊相対論においても,また一般相対論においても以下のように定義される。

$$\omega \equiv – \boldsymbol{k}\cdot\boldsymbol{u} = – k_{\mu} u^{\mu}$$
4元ベクトル同士の内積として定義される振動数は,当然ながら座標の取り方によらない不変スカラー量である。

シュバルツシルト時空中の静止観測者が観測する光の振動数は,

$$\omega = -k_0 u^0 = \frac{\omega_c}{\sqrt{1 – \frac{r_g}{r}}}$$
となり,同じ光源から放たれた同じ光,つまり同じ \(\boldsymbol{k}\) を観測していても,振動数 \(\omega\) は観測者の位置を表す動径座標 \(r\) に依存することになる。

光の重力赤方偏移

特に \(r  = r_1\) の観測者が振動数を \(\omega_1\) と測定した光を \(r = r_2 > r_1\) にいる別の観測者が測定するとその振動数 \(\omega_2\) は
$$\frac{\omega_2}{\omega_1} = \frac{\sqrt{1 – \frac{r_g}{r_1}}}{\sqrt{1 – \frac{r_g}{r_2}}} < 1,\quad\therefore\ \ \omega_2 < \omega_1$$
となる。

このように,重力源に近い(「重力ポテンシャルが深い」)ところから放出された光を重力源から遠く離れた(「重力ポテンシャルが浅い」)場所で観測すると,振動数が小さいほうへ変化して観測される。

振動数 \(\omega\) が小さくなれば波長 \(\lambda\) が大きくなる(伸びる)。

$$\lambda  = \frac{2\pi c}{\omega} \propto \frac{1}{\omega} $$

可視光では波長の長い光は赤く見えるので,たとえ可視光でなくても,重力によって一般に光(電磁波)の波長が伸びて観測されることを光の重力赤方偏移と呼んでいる。