ケプラーの法則
参考文献:
- ケプラーの法則 – Wikipedia
- 天体と軌道の力学(木下宙,東京大学出版会,1998)。本稿執筆時点では「品切れ・重版未定」となっており,Amazon では中古品に定価の3倍以上の値段がついている。
ケプラーは,ティコ・ブラーエの観測データから,太陽系の惑星の運動を次の3つの法則の形にまとめた。太陽系の惑星の運動に関するケプラーの法則とは,
第1法則
惑星は太陽を焦点のひとつとする楕円軌道上を運動する。
(惑星の運動は太陽を通る平面上に限られることが仮定されている。)太陽の位置を原点とする極座標であらわすと(3次元極座標を使うと
ここで,
第2法則
(一つの惑星に着目すると)面積速度(惑星と太陽を結ぶ線分が単位時間に掃く面積)は一定である。
惑星が楕円軌道上を運動することから,惑星・太陽間の距離は一定ではなく,一般に変化する。第2法則は,惑星が太陽に近い時はすばやく運動し,太陽から離れているときはゆっくりと運動することを意味する。
楕円の面積を
ここで,
あるいは,以下で説明するように角運動量保存を念頭において(両辺を2倍して)以下のように書いてもよいだろう。
第3法則
(軌道長半径
言い換えれば,公転周期の二乗
ケプラーの法則は万有引力の1体問題から導くことができる
ケプラーの法則は,あくまで天体観測によって得られた観測量間の関係式である。なぜそのような関係になっているかは,ニュートン力学における万有引力の1体問題を解くことで示すことができる。
質量
ここでは
万有引力の2体問題から得られた結果との比較
ケプラーの法則は,あくまで天体観測によって得られた観測量間の関係式である。なぜそのような関係になっているかは,ニュートン力学における万有引力の2体問題を解くことでも示すことができるのだが,ケプラーの法則が万有引力の法則を導く際の指導原理だったと思われるにも関わらず,万有引力の2体問題を解いて得られた結果をよく見ると,必ずしもケプラーの法則をそのままの形で完全再現するというわけではないことがわかる。
まず,ニュートン力学では作用・反作用の法則があるため,太陽が惑星に万有引力を及ぼせば,太陽もまた惑星からの万有引力を受けるため,厳密には多体問題となる。3体問題以上は一般には解析的に解けず,2体問題のみ(1体問題に帰着して)解ける。したがって,以下のページでまとめている結果は太陽と1個の惑星のみが存在する場合に厳密に成り立つ。太陽系のように複数個の惑星がある場合には厳密な意味では成り立たない。
第1法則
ニュートン力学における万有引力の2体問題を解くと,まず,単位質量あたりの角運動量ベクトル
が導かれるが,(不動の)太陽のまわりを惑星「だけ」が動く,というよりは,太陽「も」惑星「も」互いの質量中心のまわりを楕円軌道を描いて運動する,としたほうがよいことがわかる。
第2法則
2体問題を解くと2つの保存則(角運動量保存,エネルギー保存)が得られるが,面積速度は単位質量あたりの角運動量の半分にあたることがわかる。
単位質量あたりの角運動量ベクトルは
であり,(運動は赤道面上に限られるとしたから)
とすれば,角運動量の
一方,面積速度一定則は
したがって
つまり,面積速度一定とは角運動量保存のことであった。
また,以下で示すように
第3法則
もう一つの保存量である単位質量あたりの力学的エネルギー
であった。楕円軌道の場合は,
これと第2法則をあわせると
という第3法則的な関係式が出てくる。
強調しておくべきは,万有引力の2体問題においては