重力場中のテスト粒子の運動

重力以外の力を受けずに運動するテスト粒子の軌道は測地線方程式で与えられる。

ここでは,応用として球対称真空なシュバルツシルト時空中のテスト粒子の運動について解説し,特に「近(日)点移動」について詳細な導出を行う。特に,通常の摂動論的解法では,「近(日)点移動」が「強制振動による共鳴現象」に相当する単調増加振幅項となって現れることについて注意を喚起する。

このセクションの構成

 

固有時間をアフィンパラメータとする測地線方程式

シュバルツシルト時空中の粒子(観測者)の運動

シュバルツシルト時空中を動径方向に自由落下運動する観測者

シュバルツシルト時空中を円運動する観測者

弱重力場中の粒子の軌道の近似解:近点移動

テスト粒子の軌道を決める式は,一般には解析的な厳密解を求めることができない。ここでは,粒子の軌道のいたるところで重力場が弱いという近似のもと,粒子(天体,人工衛星等)の軌道を近似的に解く。

世にあまたある相対論の教科書では,それぞれの著者が趣向をこらして近点移動(太陽のまわりの軌道については近日点移動)を導出しているが,ともすれば初めから近点移動ありきとして,$\cos \gamma \phi$ に比例する解を頭から仮定して導出する例もある。ここでは,なるべくシステマティックに,測地線方程式の積分から得られた微分方程式をうまく変形してやると,自然と近点移動する軌道が解となることがわかるような導出法をまとめておく。

水星の近日点移動

近点移動のアニメーション

シュバルツシルト時空の原点のまわりの有界な(束縛)運動

一般相対論的なケプラーの法則

一般相対論的な重力場であるシュバルツシルト時空中の天体の運動について調べ,ニュートン理論におけるケプラーの法則がどのような修正を受けるかを示す。

参考:ニュートン力学における万有引力の2体問題