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Return to ローレンツ変換によらない特殊相対論の統一的理解

電磁場の変換

S 系に対して速度 V で運動する S 系でみると,電磁場の V に平行な成分( // をつけて表す),および垂直な成分(  をつけて表す)は以下のように変換される。
E//=E//,E=E+(V×B)1V2
B//=B//,B=B(V×E)1V2
以上の結果は,通常は電磁場テンソルのローレンツ変換から導くのであるが,これをローレンツ変換を使わずに導こうというのがここの本題である。

電磁場テンソル

電磁場テンソル(または電磁テンソルFμν電磁ポテンシャル Aμ を使って以下のようにして定義される反対称テンソルである。

FμνμAννAμ

4元速度 u の成分が uμ=(1,0,0,0) となる静止系では,電磁テンソル Fμν の成分は,以下のように3次元電場ベクトル E=(Ex,Ey,Ez) や磁場ベクトル(磁束密度ベクトル)B=(Bx,By,Bz) の成分であわらされる。

Fμν=(F00F01F02F03F10F11F12F13F20F21F22F23F30F31F32F33)=(0ExEyEzEx0BzByEyBz0BxEzByBx0) 

ここで,4元速度 uμ の観測者 A が観測する電場,磁場を以下のように4元ベクトルの成分として定義する。
EμFμνuνBνFμνuμ ここで,Fμν完全反対称な Levi-Civita テンソル εμναβ を用いて
Fμν12εμναβFαβ のように定義される2階反対称テンソルで,Fμν双対 (dual) なテンソルと呼ばれる。

上記の定義から,Eμ, Bν が4元速度 uμ に直交している「空間的ベクトル」であることは明らかである。
Eμuμ=0,Bνuν=0  特に観測者 AS 系に静止しているとすると
uμ=(1,0,0,0) となる。これを使って各成分を具体的に表すと
E0=F00u0=0E1=F10u0=ExE2=F20u0=EyE3=F30u0=EzB0=12u0ε00αβFαβ=0B1=12u0ε01αβFαβ=12(ε0123F23+ε0132F32)=F23=F23=BxB2=12u0ε02αβFαβ=12(ε0231F31+ε0213F13)=F31=F31=ByB3=12u0ε03αβFαβ=12(ε0312F12+ε0321F21)=F12=F12=Bz となり,4元ベクトル Eμ,Bν の空間成分が確かに3次元の電場ベクトル E および磁場(磁束密度)ベクトル B の成分になっていることがわかる。

4元速度の合成則

観測者 A

観測者 A4元速度: u

u直交する空間的単位ベクトル: e (運動する方向を表す空間的ベクトル)
ue=ημνuμeν=0ee=ημνeμeν=1

u にもeにも直交する空間的単位ベクトル: n (運動に直交する方向を表す空間的ベクトル)

un=ημνuμnν=0en=ημνeμnν=0nn=ημνnμnν=1

観測者 B

観測者 A に対して,e 方向に速さ V で運動する観測者 B の4元速度: u¯

u¯直交する空間的単位ベクトル: e¯ (運動する方向を表す空間的ベクトル)

u¯e¯=ημνu¯μe¯ν=0e¯e¯=ημνe¯μe¯ν=1

u¯ にもe¯にも直交する空間的単位ベクトル: n¯ (運動に直交する方向を表す空間的ベクトル)

u¯n¯=ημνu¯μn¯ν=0e¯n¯=ημνe¯μn¯ν=0n¯n¯=ημνn¯μn¯ν=1

4元速度の合成則とその関連

u¯=11V2u+V1V2ee¯=11V2e+V1V2un¯=n

観測者 A および B の観測する電磁場の成分

電場

観測者 A が観測する電場ベクトル Eμ=Fμνuν の,進行方向をあらわす単位ベクトル eμ に平行な成分 E//
E//=eμEμ=eμFμνuνである。

観測者 B にとっては,自身の4元速度 u¯μ と進行方向を表す単位ベクトル e¯μ を使って, E¯//=e¯μFμνu¯ν  であり,

E¯//e¯μFμνu¯ν=eμ+Vuμ1V2Fμνuν+Veν1V2=eμFμνuν+V2uμFμνeν1V2=eμFμνuνV2eνFνμuμ1V2=eμFμνuν=E//

 

観測者 A が観測する電場ベクトル Eμ=Fμνuν の,進行方向に垂直な成分は E=nμEμ=nμFμνuνである。

観測者 B にとっては,自身の4元速度 u¯μ を使って, E¯=n¯μFμνu¯ν  であり,

E¯n¯μFμνu¯ν=nμFμνu¯ν=nμFμνuν+Veν1V2=nμFμνuν+nμFμνVeν1V2=E+(V×B)1V2

念のために詳細を書くと,観測者 A の静止系では
uμ=(1,0,0,0),eμ=(0,1,0,0),nμ=(0,0,1,0)としてよいので,
nμFμνVeν=n2F21Ve1=BzV=(V×B)y=(V×B)一旦答えがでたら,この式は左辺が4元スカラーであるから,座標系によらずに成り立つ。

磁場

観測者 A が観測する電場ベクトル Bμ=Fνμuν の,進行方向をあらわす単位ベクトル eμ に平行な成分 B//
B//=eμBμ=eμFνμuνである。

観測者 B にとっては,自身の4元速度 u¯μ と進行方向を表す単位ベクトル e¯μ を使って, B¯//=e¯μFνμu¯ν  であり,

B¯//e¯μFνμu¯ν=eμ+Vuμ1V2Fνμuν+Veν1V2=eμFνμuν+V2uμFνμeν1V2=eμFνμuνV2eνFμνuμ1V2=eμFνμuν=B//

 

観測者 A が観測する磁場ベクトル Bμ=Fνμuν の,進行方向に垂直な成分は B=nμBμ=nμFνμuνである。

観測者 B にとっては,自身の4元速度 u¯μ を使って, B¯=n¯μFνμu¯ν  であり,

B¯n¯μFνμu¯ν=nμFνμu¯ν=nμFνμuν+Veν1V2=nμFνμuν+nμFνμVeν1V2=B(V×E)1V2

念のために詳細を書くと,観測者 A の静止系では
uμ=(1,0,0,0),eμ=(0,1,0,0),nμ=(0,0,1,0)としてよいので,
nμFνμVeν=n2F21Ve1=F30V=EzV=(V×E)y=(V×E)一旦答えがでたら,この式は左辺が4元スカラーであるから,座標系によらずに成り立つ。

まとめ

観測者 A に対して運動する観測者 B の運動方向に平行な成分成分( // をつけて表す),および垂直な成分(  をつけて表す)について,以下のような変換則が成り立つことを,ローレンツ変換を使わずに求めることができた。

E¯//=E//E¯=E+(V×B)1V2B¯//=B//B¯=B(V×E)1V2

観測者 Aにとっての電磁場は
Eμ=Fμνuν,E//=eμEμ,E=nμEμ
Bμ=Fνμuν,B//=eμBμ,B=nμBμ

観測者 Bにとっての電磁場は
E¯μ=Fμνu¯ν,E¯//=e¯μE¯μ,E¯=n¯μE¯μ=nμE¯μ
B¯μ=Fνμu¯ν,B¯//=e¯μB¯μ,B¯=n¯μB¯μ=nμB¯μ

補足:完全反対称な Levi-Civita テンソル

Levi-Civita テンソルを以下のように書く。

ελμνρ