系に対して速度 で運動する 系でみると,電磁場の に平行な成分( をつけて表す),および垂直な成分( をつけて表す)は以下のように変換される。
以上の結果は,通常は電磁場テンソルのローレンツ変換から導くのであるが,これをローレンツ変換を使わずに導こうというのがここの本題である。
電磁場テンソル
電磁場テンソル(または電磁テンソル) は電磁ポテンシャル を使って以下のようにして定義される反対称テンソルである。
4元速度 の成分が となる静止系では,電磁テンソル の成分は,以下のように3次元電場ベクトル や磁場ベクトル(磁束密度ベクトル) の成分であわらされる。
ここで,4元速度 の観測者 が観測する電場,磁場を以下のように4元ベクトルの成分として定義する。
ここで, は完全反対称な Levi-Civita テンソル を用いて
のように定義される2階反対称テンソルで, に双対 (dual) なテンソルと呼ばれる。
上記の定義から, が4元速度 に直交している「空間的ベクトル」であることは明らかである。
特に観測者 が 系に静止しているとすると
となる。これを使って各成分を具体的に表すと
となり,4元ベクトル の空間成分が確かに3次元の電場ベクトル および磁場(磁束密度)ベクトル の成分になっていることがわかる。
4元速度の合成則
観測者
観測者 の4元速度:
に直交する空間的単位ベクトル: (運動する方向を表す空間的ベクトル)
にもにも直交する空間的単位ベクトル: (運動に直交する方向を表す空間的ベクトル)
観測者
観測者 に対して, 方向に速さ で運動する観測者 の4元速度:
に直交する空間的単位ベクトル: (運動する方向を表す空間的ベクトル)
にもにも直交する空間的単位ベクトル: (運動に直交する方向を表す空間的ベクトル)
4元速度の合成則とその関連
観測者 および の観測する電磁場の成分
電場
観測者 が観測する電場ベクトル の,進行方向をあらわす単位ベクトル に平行な成分 は
である。
観測者 にとっては,自身の4元速度 と進行方向を表す単位ベクトル を使って, であり,
観測者 が観測する電場ベクトル の,進行方向に垂直な成分は である。
観測者 にとっては,自身の4元速度 を使って, であり,
念のために詳細を書くと,観測者 の静止系では
としてよいので,
一旦答えがでたら,この式は左辺が4元スカラーであるから,座標系によらずに成り立つ。
磁場
観測者 が観測する電場ベクトル の,進行方向をあらわす単位ベクトル に平行な成分 は
である。
観測者 にとっては,自身の4元速度 と進行方向を表す単位ベクトル を使って, であり,
観測者 が観測する磁場ベクトル の,進行方向に垂直な成分は である。
観測者 にとっては,自身の4元速度 を使って, であり,
念のために詳細を書くと,観測者 の静止系では
としてよいので,
一旦答えがでたら,この式は左辺が4元スカラーであるから,座標系によらずに成り立つ。
まとめ
観測者 に対して運動する観測者 の運動方向に平行な成分成分( をつけて表す),および垂直な成分( をつけて表す)について,以下のような変換則が成り立つことを,ローレンツ変換を使わずに求めることができた。
観測者 にとっての電磁場は
観測者 にとっての電磁場は