時計と一緒に運動している観測者 \(B\) が測定する時計の進み
4元速度 \(\bar{\boldsymbol{u}}\) の観測者 \(B\) と一緒に運動する時計が \(T_0\) だけ時を刻むことを表す4元ベクトル \(\boldsymbol{t}\) は
$$\boldsymbol{t} = T_0\, \bar{\boldsymbol{u}}$$
である。観測者 \(B\) が測定する時間は,\(\bar{\boldsymbol{u}}\) にそった「成分」として定義すると,
$$ \boldsymbol{t}\cdot\frac{\bar{\boldsymbol{u}}}{\bar{\boldsymbol{u}}\cdot\bar{\boldsymbol{u}}} = – T_0\, \bar{\boldsymbol{u}}\cdot\bar{\boldsymbol{u}} = T_0 $$ と,確かに \(T_0\) になっている。
観測者 \(A\) がそれを測定すると…
一方,この同じ現象を4元速度 \(\boldsymbol{u}\) の観測者 \(A\) が測定すると,時計は \(V\) で運動しているように見える。\(A\) が測定する時間 \(T\) は \(A\) の4元速度 \(\boldsymbol{u}\) に沿った「成分」であるから,
$$ T = \boldsymbol{t}\cdot\frac{{\boldsymbol{u}}}{{\boldsymbol{u}}\cdot{\boldsymbol{u}}} = – T_0\, \bar{\boldsymbol{u}}\cdot\boldsymbol{u}$$
となる。4元速度の合成則を使うと(\(\boldsymbol{u} \cdot\boldsymbol{u} = -1, \ \boldsymbol{e} \cdot \boldsymbol{u} = 0\) であるから)
\begin{eqnarray} T &=& – T_0\, \frac{1}{\sqrt{1-V^2}} \left(\boldsymbol{u} + V \boldsymbol{e}\right) \cdot \boldsymbol{u}\\ \ \\
&=& \frac{T_0}{\sqrt{1-V^2}}
\end{eqnarray}
したがって,$$T_0 = T \sqrt{1-V^2} < T$$
となり,観測者 \(A\) の経過する時間 \(T\) に対し,観測者 \(B\) の経過する時間 \(T_0\) が小さいことから,運動している観測者 \(B\) の時計がゆっくり進んでいるようにみえる。