ばね振り子の振動

概要

ばね振り子の減衰振動や共振現象を観察します.

装置と方法

ばね振り子の振動測定装置には,島津理化SPA-10を使用しています.ばね振り子には磁石が入っており,コイルによる磁場で振動が励起されます.ばねの付け根を照らすLEDとフォトダイオードで振動を検出して,電圧信号として出力します(ここでは使っていませんが,SPA-10には振幅を直流電圧として出力する回路も組み込まれていますので,直流電圧計やテスタで振幅を測ることも可能です).長さが異なる(すなわちばね定数が異なる)何本かのばねが付属していますが,この題目で使うのは長さが中くらいのものだけです(ばね定数は 12 N/m).コイルの内側にビーカーが入る構造になっており,空気中だけでなく液体中での振動も観察できるようになっています.

ばね振り子の振動実験装置

振動の観察には,デジタルオシロスコープを使っています(別売).TEXIOのDCS-1072Bという機種が2016年に導入されました.本実験室には珍しく(?),フルカラー液晶表示のイマドキなオシロスコープです.

実験手順としては,まず空気中で大まかな共振周波数を見つけ,それをもとに水中で減衰振動を観察し,最後に共振曲線を作成します.いずれにおいても,振幅は装置の出力電圧をそのまま振り子の振幅(の相対値)として用いており,実際の振幅への較正は行っていません(共振の本質とはあまり関係ない割には手間がかかるからでしょう).

コメント

この題目では,目に見えるばね振り子の振動で共振現象を扱っています.共振現象は,多くの現象(機械的現象,電気信号,光と物質の相互作用,etc)を扱う基礎となっており,大学基礎レベルの物理学でもっとも重要な項目であるといっても過言ではありません.それゆえ各大学の同様の科目で共振現象自体を扱う実験題目が採用されています.電気回路(RLC直列回路とか)における共振を扱うケースが多いような気がしますが,実際のモノの振動で共振を観察することで,振動の様子をより強く印象づけることができると思います.そういう意味では専門外の学生にも是非体験して欲しい実験題目です.

共振曲線の作成においては,振幅に対するものだけを作成します.共振においては入力と出力の位相差の(周波数による)変化もまあまあ重要なのですが,それの測定を行っている科目はないようです.

この題目は,共振を語る上で最も基本的な理論(ばねの復元力や液体による抵抗力の線形性など)をベースにしています.大まかにはそれらの理論で現象を説明できますが,注意深く観察するとその理論から予想されるものからは外れた結果が得られることがあります.そのような場合に,ベースの理論をどのように広げていけばその結果を説明できるかと考えていくと,この題目の奥の深さを実感できるでしょう.