Contents
■ 反復測定の混合効果モデル(Mixed-effects Models for Repeated Measures;MMRM)
MMRMは線形混合効果モデル(Linear Mixed Effects Model;LMM)とも呼ばれます.データは,反復測定によるANOVA(Repeated measures ANOVA;rep-ANOVA)と同じ形式になります.
rep-ANOVAは医学の分野に限らず長年使われてきているので,見慣れた統計手法です.しかし,同じものを検定するために,なぜ違う手法が存在するのかという疑問を持つ人も多いと思います.その理由にはMMRMが,様々な利点があるためです.
■ MMRMの特徴
rep-ANOVAと比較したMMRMのメリットは以下の点です.
● 検定のための前提条件が少ない
rep-ANOVAでは,従属変数の分散共分散行列が球形であることを前提にするので,事前にMauchlyの球形性検定(one-wayのとき)もしくはMendozaの多標本球形検定(multi-wayのとき)により球形性が否定されたときは,Greenhouse-Geisserのイプシロン修正などで自由度補正しなければなりません.過去には「そんな面倒なことしなくてもよい」という意見も聞きましたが,これは見逃せない問題です. → 参照
rep-ANOVAでは,前提条件の確認のために検定を繰り返すことや,球形性が否定されたときに自由度を修正するなどの手を加える必要が出てくるので(この正誤については断言しませんが),なるべくすっきり検定を進めた方がよいと考えます.
● 欠損値に対して柔軟
欠損値があっても,解析できるという利点があります.ただし,Missing At Random(MAR)という条件が必要です.
● 反復測定データに対する最も適切な解析手法である
反復測定データは,固定要因と変量要因の組み合わせ(ゆえに混合モデルと呼ばれる)です.rep-ANOVAは乱塊法に基づく手法なので,適用されるデータは形式こそ反復測定データですが,固定因子の全ての水準に変量因子の全ての水準が含まれなければなりません(これが欠損を許さない原因です).MMRMが最も適した手法です.
■ 改変RコマンダーによるMMRM
改変Rコマンダーでは,固定要因が1つのMMRM,共変量を含む固定要因が1つのMMRM,固定要因が2つのMMRM,Kirkによる分割プロットデザイン(split-plot design)のMMRM,共変量を含む分割プロットデザインのMMRMができます.
- パッケージは,lme4,lmerTest,performanceを使用しています.
- lmer関数(デフォルト)でモデルを作成し,検定のdfの調整にはサンプルサイズが小さいときに有利なKenward-Roger法を用いています(デフォルトではSatterthwaite法).
- 多重比較法は,emmeansパッケージのlsmeans関数を用いて,最小二乗平均の検定を行います(※出力に,『P value adjustment: tukey method for comparing a family of…』のような記述がありますが,Tukeyの検定を用いているのではなく,全水準の対比較を行ったという意味です).自由度は,Kenward-Roger法です.
- 参考資料としてここ
■ ノンパラメトリック法
対応するノンパラメトリック法は存在しませんので,どうしてもというのであれば,ノンパラメトリック法の分割プロットデザインによるANOVAを適用するしかないと思います.