赤方偏移とは,宇宙天文分野において遠方からの電磁波の波長が長いほうにずれて観測される現象をさす.振動数は波長に反比例するので,振動数が小さいほうにずれて観測されると言いかえてもよい。
赤方偏移の要因としては
- 光源の後退速度によるドップラー効果
- 重力源近傍からの光が受ける重力赤方偏移
- 宇宙膨張によって引き起こされる宇宙論的赤方偏移
があるが,遠方からの電磁波の観測という同一事象であるにもかかわらず,それぞれの要因ごとに別々の説明がされているのが現状である。
ここでは,まず世の中の教科書では,赤方偏移がその要因ごとにどのように説明されているかをおさらいする。そして,ローレンツ変換によらない相対論の統一的理解の立場から,2つの原理原則によってこれらの赤方偏移が統一的に理解できることを示す。