目次

特殊および一般相対性理論の理解とその周辺知識。相対性理論を(少しだけ違った角度から眺めて)理解するための基本事項を,数式を省略せずにまとめてみました。また,周辺知識として,学部1年生から2年生向けの担当授業(電磁気学,理工系の数学 B および Cコンピュータ演習)の講義ノートを Web ページとして公開しています。

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GNUPLOT, Maxima, Python (Matplotlib, SymPy Plotting Backgends) でグラフの作成と活用。
Maxima, SymPy の積極的利用。解析的に解ければよし,解けなくてもそのまま数値解法できるし!
・アインシュタイン方程式の計算だって,Maxima の ctensor や Python の EinsteinPy でやっちゃう!

■ ローレンツ変換によらない特殊相対論の統一的理解

時間の進み方を変えるのは,特殊相対論的効果だけではない。「スカイツリー展望台と地上の時間の進み方の違い」のように,重力ポテンシャルの違いによる一般相対論的効果や,GPS衛星に搭載された時計の問題のように,運動による特殊相対論的効果と重力による一般相対論的効果がともにあらわれる場合もある。

一方で,ローレンツ変換が使えるのは,重力が関与しない特殊相対論の場合のみである。であれば,GPS 衛星の時計の問題のような,運動及び重力による効果の統一的理解のためには,まず特殊相対論において

ローレンツ変換を使わずに特殊相対論的効果を理解することはできるのか?

という問いに答えることは,きわめて有意義であると考える。そして私は,この問いに対して

できますよ!

と答えてみる。

■ 一般相対論的時空の表し方

重力の理論である一般相対性理論では,重力は個々の物体に働く「力」というよりも,入れ物としての時空そのものの曲がり具合として記述される。時空の曲がり具合を記述するのが微分幾何学であり,そこには曲率テンソルをはじめとした多くの数学的道具立てが現れる。

ここでは,曲率テンソルの物理的イメージを感じていただけるように,力学の運動方程式に相当する測地線方程式の話からはじめて,平行移動と共変微分は使わずに,それでいて式の説明は割愛せず,曲率テンソルの導入まで説明してみる。

■ 重力場中の光の伝播

光の経路はヌル測地線で与えられる。このことを説明し,応用として,球対称真空なシュバルツシルト時空中の光の伝播について説明する。

また,測地線とは「まっすぐな線」として定義される。測地線で記述される光の経路は「まっすぐ」である。曲がるはずはない。

果たして,まっすぐな線は曲がるのか?

この問題についても理解を深めたい。また,時空の漸近的平坦性を仮定しない「曲がり角」の定義についても説明する。

■ 赤方偏移の統一的理解

赤方偏移とは,宇宙天文分野において遠方からの電磁波の波長が長いほうにずれて観測される現象をさす。赤方偏移の要因としては

  1. 光源の後退速度によるドップラー効果
  2. 重力源近傍からの光が受ける重力赤方偏移
  3. 宇宙膨張によって引き起こされる宇宙論的赤方偏移

があるが,これらの赤方偏移が統一的に理解できることを示す。

■ 重力場中のテスト粒子の運動

重力以外の力を受けずに運動するテスト粒子の軌道は測地線方程式で与えられる。

ここでは,応用として球対称真空なシュバルツシルト時空中のテスト粒子の運動について解説し,特に「近(日)点移動」について詳細な導出を行う。特に,通常の摂動論的解法では,「近(日)点移動」が「強制振動による共鳴現象」に相当する単調増加振幅項となって現れることについて注意を喚起する。

 

■ 重力場中の時間の進み方

特殊相対論における「運動している時計の遅れ」のおさらいからはじめて,「東京スカイツリーの展望台では時間が早くすすむこと」や,地球をまわる人工衛星や宇宙ステーションに搭載された時計の進み方についてまとめ,特殊及び一般相対論的効果による時間の進み方の変化について,統一的な理解をめざす。

■ ニュートン宇宙論

ニュートン力学の運動方程式万有引力の法則から,(一般相対論を使わずに)宇宙の膨張を記述するフリードマン方程式を導く。

■ 一般相対論的宇宙論

アインシュタイン方程式をうずなしのダスト流体の場合について解き,膨張宇宙の解であるフリードマン・ルメートル・ロバートソン・ウォーカー計量(FLRW 計量)を導出する。また,宇宙膨張をあらわすスケール因子を決めるフリードマン方程式について解説する。さらに,膨張宇宙における光の伝播と,宇宙論的距離の定義についても,一般的な定義を先に述べ,それを FLRW 計量の場合に適用した結果についてまとめる。

その他

■ Memo

書きかけのページや未解決の疑問,小ネタなど。

 

■ 理工系の数学B

(地球環境防災)学科1年前期の授業。主に1変数の微分・積分。微分積分は,定義だ証明だなどとぐずぐず言ってないで,とっとと学生にたくさん問題を解かせるべきだ… などという声もあるだろうから,真逆に,定義と証明だけ理解していれば,あとは Maxima や SymPy で全部解かせればよし!というスタンスで授業をやってみた。

■ 電磁気学I

(地球環境防災)学科1年後期の授業。(20世紀の昔,いや昭和の昔)学生時代に読んだ「ファインマン物理学 III 電磁気学」に影響され,マクスウェル方程式から始めるスタイルでやっているが,当学科のカリキュラムの問題で,1年前期は1変数の微分積分のみ,電磁気学に必要な偏微分や多重積分は2年生になってやることになっているため,この電磁気学の授業のなかで,必要な数学的道具立てはすべて解説することに。

せっかくだから,ディラックのデルタ関数を積極的に活用して,(ポアソン方程式の解としての)電荷密度から直接電場を求める式(これには特に名前がついていない)や,電流密度から直接磁場を求める式(ビオ・サバールの法則)の多重積分を行って(静的な場合の)電磁場を直接計算してみる

小難しい多重積分は Maxima-Jupyter を公式集として使えばよろしい,というスタンスで書いてみた。

■ 理工系の数学C

(地球環境防災)学科2年前期の授業。常微分方程式,偏微分,多重積分,フーリエ解析。ひととおり黒板で説明したあと,PC 実習室で Maxima-Jupyter でおさらいしてみた。特に,フーリエ級数展開なんかは,自分でグラフを描いてみると感じがつかめると思って。

■ コンピュータ演習

(地球環境防災)学科2年後期の授業。

Jupyter Notebook 環境で,Maxma-Jupyter, Python, gnuplot の演習。弘大 JupyterHub を利用して,Web ブラウザさえあれば学内のみならず自宅からでも,日本国内であればどこからでも Jupyter Notebook が使える環境を最大限に活用。

また,学科の専門上,Fortran の需要も一定の割合であると思われるので,Visual Studio Code をエディタとして使う例も準備。

授業内容は全てWeb コンテンツとして準備。

■ gnuplot, Maxima, Python グラフ作成・比較

同等の対象を

  • gnuplot
  • Maxima (plot2d(), draw2d())
  • Python の matplotlib.pyplot.plot()
  • Python の SymPy Plotting Backends

でグラフにしてみるシリーズ。gnuplot ではこうやるのを他の例えば Maxima の draw2d() や Python の SymPy Plotting Backends ではどうやるんだっけとかの参考に。

全て Jupyter Notebook で実行。