Physically inevitable, conceptually unexpected.
Discover ⇒ Measure ⇒ Uncover ⇒ Reconstruct ⇒ Apply unexpectedly
私たちは、相変化や生体機能を含む複雑熱流動現象に着目し、独自の視点と徹底した計測によりその支配構造を解明し、再構築を通じて新たな機能と意外性を備えた応用への展開を目指します。
We investigate complex thermo-fluid phenomena, including phase change and biological functions, and aim to uncover their governing structures through original perspectives and rigorous measurements, and to reconstruct them into new functionalities and conceptually unexpected applications.

皮膚の温度と熱物性を非侵襲・短時間・高精度に計測できるペン型のデバイスを新たに開発しました。このデバイスを、専門医でも診断が難しいとされる初期段階の皮膚がんの検出に応用しました。これまでに、進行ステージの異なる11例の皮膚がん患者において臨床実験を実施し、世界で初めて初期段階の皮膚がんと健常皮膚の熱の流れやすさの違いの検出に成功しました。
この研究は「室温よりも高い温度の物体の表面温度を精密に測ることは、一見簡単そうに見えて実は非常に難しい」という違和感から始まりました.
・Okabe et al, Int J Heat Mass Transf, (2017), 2283-2292.
・Okabe et al, Int J Heat Mass Transf, (2018), 625-635.
・Okabe et al, Sci Rep, (2019), 3853. など
生体熱特性モニタリングのためのウェアラブル熱センサー
人体の「熱」的な状態な常に変動しています。私たちは、その変動を精密に捉えるために、シンプルな構造でありながら高い精度で皮膚の熱物性や汗の状態をモニタリングできる新しいウェアラブル熱センサーを開発しました。本センサーの特長は、ミニマムで効果的な構造に加え、センサーと皮膚の接触状態という従来見落とされがちだった要素も考慮できる点にあります。これにより、熱中症の診断や運動パフォーマンスの評価、さらには日常的な健康状態のモニタリングへの応用が期待されます。
・Okabe et al, Sci Rep, (2025), 18648.
・Takahama & Okabe et al, Proc 11th JKTFEC, (2025).


氷スラリー液滴衝突現象を用いた生体急冷技術
微細な氷粒子を含む単一液滴の加熱面衝突に伴う熱流動現象の解明を行っています。特に、液滴内で運動する氷粒子が固液界面熱伝達現象にどのような影響を与えているのかに着目しています。将来的には,高い冷却性能を示す液滴衝突現象と氷の融解による潜熱利用を組み合わせた新たな生体急冷法の実現を目指しています。
この研究は「衝突液滴内に微細な氷粒子が存在すると伝熱はどのように変化するのか、それはどのような構造として理解・モデル化できるのか、そもそもどうやって評価すべきなのか」という好奇心と違和感から始まりました.
固体粒子を含む液滴の加熱面衝突現象
氷スラリー液滴衝突現象の素過程を明らかにするために、固体粒子を含む単一液滴の加熱面衝突に伴う熱流動現象の解明を行っています。氷粒子を含む系では、粒子の融解や形状変化が重なり、現象の理解を難しくします。そこで、本研究では、相変化を伴わない固体粒子を用いることで、粒子の大きさ、形状、個数、密度、初期位置といった要素を定量的に制御し、粒子運動と界面熱伝達の関係を抽出することを目指しています。
これは複雑な現象を一度解体し、その現象の中に潜む支配構造を抽出するためのアプローチでもあります。
衝突現象を用いた熱物性推定法の開発
微量の液滴一滴、あるいは生体材料を加熱した市販の赤外透過基板に一瞬接触させるだけで、熱物性値と接触熱抵抗を同時に推定できる新しい手法の開発を行っています。本手法は、計測時間が1ミリ秒程度と非常に短く、複雑な光学系や煩雑な事前準備を必要としないため、実用性と汎用性を兼ね備えています。現在、この手法を用いた医療診断技術の開発を目指しています。
この研究は「単一液滴が加熱面に衝突した瞬間、固液界面の温度はどのように決定されるのか,そもそもそれをどのように測ればよいのか、さらにその情報から熱物性を推定できるのではないか」という好奇心と違和感から始まりました。
熱と流れの同時高速可視化法の開発
液滴衝突現象のように、熱と流れが高速かつ複雑に変動する非定常現象において、その両者を同時かつ高時空間分解で捉えることは容易ではありません。本研究室では、高速度可視(VIS)カメラと高速度赤外線(IR)カメラを用いて、液滴衝突界面における温度分布と流動挙動を同時に可視化する手法を開発しました。本手法では、取得した温度分布に基づく3次元熱伝導解析によって、固液界面で生じる熱流束分布を抽出することを可能としています。これにより、既存技術では評価が難しい氷スラリー液滴衝突などの超複雑な非定常高速熱流動現象の定量的評価を実現しました。

加熱面に置かれた多成分液滴の蒸発と塗着形状
液滴衝突現象だけでなく、「衝突後」の液滴の蒸発過程にも着目しています。特に、加熱面に置かれた多成分液滴の複雑な蒸発と塗着、さらに固気液三相接触線近傍からの析出に着目しています。本研究テーマは自動車会社との共同研究として実施し、自動車の噴霧塗装における超均一塗膜形成を目指しています。
共焦点レーザー顕微鏡を用いた微小液滴の接触線近傍形状評価
【キーワード】
計測:温度計測、熱物性計測、高速度赤外線計測、PIV、2色LIF、画像解析、逆問題解析、温度校正
現象:相変化(融解、凝固、蒸発、沸騰)、生体伝熱、液滴衝突、静止液滴、氷スラリー、界面伝熱現象
応用:医療診断、低侵襲治療、熱中症の応急処置、人体の急冷、蓄熱技術、成膜技術
【共同研究】東北大学(医学部、流体科学研究所)、八戸工業高等専門学校、物質・材料研究機構、King's College London、企業 等
