私が担当しているX線回折装置の概要を紹介します.
機種・構成
リガクの全自動多目的X線回折装置SmartLabです.2080A202という定格出力が9kWのモデルで,インプレーンアームが備わっています.薄膜試料の分析にも粉末試料の分析にも(バルク試料の分析にもある程度は)対応した構成となっています.(※単結晶用の装置ではありません. )
- X線ターゲットにはCuを用いています.
- X線検出器には,1次元検出器である D/teX Ultra250 を装備しています.特に集中法での測定を高速に行うことができます.ストリップ幅は75μmであり,(ゴニオ径が300mmなので)角度分解能は0.015°となります.
- バルク試料/薄膜試料向けのウェーハ試料板は,4インチ径のものを用意しています(6インチや8インチのものはありません).つまり,測定可能な試料サイズの最大が4インチ径となります.
- バルク試料の厚さは,25mm程度まで対応しています.
- 極点測定用の試料ステージアタッチメントを用意しています.
- 高分解能測定のためのチャンネルカットモノクロメータは,Ge220の2結晶と4結晶が用意されています.また回折線の分解能を高めるためのGe(220)2結晶アナライザも用意されています.
- 小角散乱分析(SAXS)にも対応しています(光学系,試料ホルダなど).(が,やったことはありません.)
- 微小領域測定には対応していません(ピンホールコリメータなどは用意していません).最も狭い長手制限スリットが2mmのものですので,X線照射領域は少なくとも3~4mm程度の幅を持ちます.
- 試料を高温あるいは低温にするような測定(いわゆるin situ測定)には対応していません.
位置付け
本装置は,弘前大学の共用機器基盤センターに所属しています.つまり,弘前大学の教職員や学生はもちろんのこと,それ以外の人(自然人,法人)も所定の手続きに従うことで本装置を使用できます.ちなみに,青森県内でこのように開放されているX線回折装置は,青森県産業技術センターの工業総合研究所(青森市)や八戸工業研究所,八戸工業高等専門学校の地域テクノセンターにあるようです.
関連ページ
- 使用案内:本装置での測定を行いたい方に向けた案内です。
- 屋根裏の裏側 – X線回折装置:本サイトのWeblogの関連記事一覧です。