概要
分光計を使って,与えられたプリズムの屈折率を最小偏角法で測定します.科目によって光源は異なりますが,Naランプ,Hgランプや蛍光ランプなどを使います.
装置と方法
ガラスの屈折率を測定する方法はいくつかありますが,最小偏角法は精密な値を得ることができるため,現在でも工業的な標準として採用されています(JIS B 7071-1).
ガラスをプリズム(三角柱)状に加工して,2つの側面で屈折される場合の最小偏角 と,その2面の間の角 (頂角と呼ぶ)を測定することで,次式を用いて屈折率 を測定することができます.
の精度は角度を測定する精度に依存します.角度を精密に測定するために,分光計を使います.本実験では,島津理化の分光計V-6を使用しています.この分光計では角度を1′単位で読み取ることができます.
頂角の測定には,分光計のスリット像の反射像の位置を測る方法を用いています.最小偏角の測定は,左右の最小偏角位置を測った上で,その差を2で割っています.
コメント
最小偏角法による屈折率の測定は,この手の学生実験でよく見る題目だと思います.外からの誤差要因がほとんどなく,測定をまともに行えばまともな値が得られます.一方で,測定や計算でのミステイクによって誤った結果を得ることの多い題目でもあります.
測定はそれほど多くないのですが,その前の分光計の調整が鬼門になっています.1つずつ合わせるのではなく,反復しながら2つのものを合わせていくという操作が必要になりますので,どうしても時間がかかります.
分光計の調整を実体験することも教育的な目的の1つにあるらしく,多くの科目の実験テキストで,ある程度調整されているはずのものをいったんずらしてから調整を行うような記述があります.しかし,そちらに力を入れるあまりに肝心の測定が(時間の逼迫などで)おろそかになってしまっては,本末転倒であるとも考えられます( のような結果を報告する実験レポートに何の意味があるのか?).
屈折率の波長依存性を見る科目もあります.本来は屈折率は波長に対して下に凸な特性を持つのですが,相当に注意深く測定を行わないと,直線であることを否定できるような結果は得られないでしょう.