百聞は一見にしかず

りんごの樹に昆虫が入ったカゴを設置して実験しています。

交信かく乱剤を用いた害虫防除に関する研究の一環です。

実験に使う昆虫の準備も大変ですし、設置自体も複数人で作業しないと苦労します。

地上3mの高さにも設置するので脚立に登って作業します。

野外での作業が終わったら、顕微鏡の下で小さなガ(メス)を解剖して交尾嚢の中にある精包を調べます。

「昆虫が入ったカゴを野外に静置し、交尾するか調べる」

という、文字上はかなり簡単な実験のように思えますが、実際に作業すると大変労力がいります。

実際に従事してみないと、その実験手法の細かなイメージが掴めないので、こうやって昆虫学に関わる様々な実験に携わることができて大変ありがたいです。

多様な経験を積むことができて、日々レベルアップにつながっている感じがします。

昆虫採集からもう一歩先に

暖かくなって、昆虫が活発になってきたので、いろんなトピックで取材が増えてきました。

 

以下、バッタの色に関する問い合わせに答えたものです。

先月の中旬ごろ、熊本日日新聞でピンクのバッタに関して私見を述べました。

https://kumanichi.com/articles/1771225

 

数日前は、熊本放送の番組でもバッタの色制御に関して私見を述べました。

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/rkk/1986233?display=1

 

どちらも熊本に拠点を構えるメディアですね。なぜか熊本が続きました。(私の地元が近いので、番組の方言を聞いて懐かしさを感じました)

この手の話題に、これまでも質問に答えているのですが、確定的なことは言えないのですよね。

捕まえたバッタの発色の原因は、そのバッタを使って実験してみないとなんとも言い難いです。

したがって、捕まえたお子さんが実験してみると良いのですが、「昆虫を捕まえることにしか興味がない」みたいな感じだと、それも難しいです。

小学校や市町村の図書館に昆虫の本を揃えて、「既知の情報を本で調べる」「現象が起こるメカニズムに関心をもつ」などのトレーニングを少しずつ積める環境を整えると、科学として考える素地ができると思います。

小・中学校の先生が導いてあげられると良いと思うのですが、教員の疲弊の話が常態化しているようなので難しいですかね。。

親子体験学習2025

今年も弘前大学藤崎農場で、子供を対象とした「親子体験学習」の講師役として参加しました。(6/14)

今年は、同学部の橋本先生の研究室とともに行いました。

去年の同イベントでは、高熱でフラフラしながら参加しましたが、今年は帯状疱疹と戦いながらの任務でした。

比較的、身体は丈夫なのですが、この時期は体調を崩すみたいです。

 

農場にある堆肥の山を崩して、カブトムシ蛹を採集し、その後は草むらで昆虫探しをおこないました。

当研究室からは、廣田くんと馬場くんが手伝ってくれました。

Nandary(NHKラジオ)さんにお呼ばれ

6月4日のムシの日に因んで、NHK仙台放送のラジオ番組に呼んでいただきました。

パーソナリティの大谷さんにいざなわれるまま、昆虫に関するいろんなトピックを話しました。

https://www.nhk.jp/p/rs/JMRY7X2YP2/blog/bl/pd31LPx0QA/bp/pn1x5O4z6M/

https://x.com/nhk_sendai/status/1929862669794005103

 

今回の裏テーマとして、昆虫自体に関する情報だけでなく、昆虫研究や大学の昆虫学について、一般の人に知ってもらいたいなという気持ちを持っていました。

「大学で昆虫の研究なんてしている人がいるんですね」

「マニアックな業界があるのですね(怪訝な顔)」

みたいなことを言われることがあり、いまいち昆虫学の意義や楽しさみたいなものは一般には伝わっていないのだなと感じることがあります。

昆虫学の意義が社会の一定数に認知してもらっておかないと、そのうち昆虫学不要論が出てきそうなので、社会発信は重要なのだと思います。

昆虫学の先人たちは、他の分野と比しても社会発信を多くしていたと思います。

こういった活動が、他国と比べても日本では昆虫に関心がある人が多い一因になっていると思います。

 

番組の最後にも述べている様に、昆虫が原因となる社会問題は非常に多く(病気関係だけでなく、例えば最近の万博ユスリカ問題などの不快問題も)、農業においては昆虫は重要なプレイヤーであり(いい面でも悪い面でも)、生物学的側面から一般の人が興味を抱くことは多いと思います。

昆虫に興味がある生徒さんは、その興味を活かして専門性を身につけることで、それを生業にするキャリアもあるということを知っていただけると良いかなと思っています。

もちろん、生徒さんだけでなく、リカレントとしても良いと思います。

番組は6月10日まで聴ける様なので、家事しながらでもお気軽に聞いてみてください。

https://www.nhk.or.jp/radio/player/ondemand.html?p=JMRY7X2YP2_01_4227412&e-param=R3L6NLPPNZ

仙台へ!(宮城大とラジオ)

先週は、非常勤をしている宮城大学に授業に行ってきました。

みなさん熱心に話を聞いてくれて、こちらも心地よく講義をおこなうことができました。

食に関する話と、昆虫にまつわる話を、農学的な観点も混ぜつつ話しました。

たまに仙台出張するのは気分転換にもなっていいものですね、なんて思っていたら、また来週も仙台へ出かける予定ができました。

 

今度は、NHK仙台放送局でラジオに出演するためです。

6月4日はムシの日なので、大学の昆虫学ということで呼んでもらいました。

https://www.nhk.jp/p/rs/JMRY7X2YP2/episode/re/R3L6NLPPNZ/?area=020

研究室の話、りんご害虫防除の話、バッタ学の面白さ、など複数のトピックを話す予定です。

昆虫学を一般に発信することで、ムシの日を盛り上げますよ〜。

 

私はラジオ出演は三回目ですが、NHKラジオは初めてです。

これまでのラジオ出演では、言いたいことの半分も言えなかったので、次こそはしっかりとリスナーさんに伝えられる様に頑張ります!

交信撹乱剤の設置(りんご園に於いて)

本日は交信撹乱剤(コンフューザーR)の設置をしてきました。

りんご研究所(青森県産技)と当研究室は害虫防除に関する共同研究をしていて、そのために必要な準備です。

交信撹乱剤は設置域に特定の害虫のフェロモンを充満させることで交尾を阻害し、特定の昆虫の個体数を減らす目的で使われる資材です。

農薬取締法において、農薬と位置付けられています。

興味がある方は、書籍などもありますのでご参照いただければ。

 

なぜ当研究室が交信撹乱剤に関わっているのかの経緯を少し説明します。

日本の病害虫防除の分野で、近年問題になっていることがいくつかあるのですが(農薬の再評価制度、気候変動、抵抗性などなど)、青森の農業においても例に漏れず、複数の大きな課題を抱えています。

農業は一般の人(非農家さん)が考えている以上に高度な営みで、毎年同じようなやり方で栽培をしても、研究活動がなければそのうち破綻します。

だから、県の試験場、農水省系の研究所、大学の農学部の存在が不可欠なわけですね。

そういった状況下、りんご病害虫防除歴の中に、交信撹乱剤の利用が追加されました。(これも結構苦肉の策。。)

しかし、交信撹乱剤を設置したら解決するという問題ではなく、研究活動をおこない、知見の蓄積や改良を続ける必要があります。

ということで、まだまだヒヨッコの当研究室は色々と教えてもらいながら設置しました。

↓試験場の研究員やメーカーさんから指導してもらっているところ↓

 

↓関係者の皆でコンフューザーRを結びつけているところ↓

 

結構人手を要しますし、なんとか省力化できる良いアイディアがあるとよいのですが。。

大学の理工学部のどなたかが、省力化のためのシステムや装置を開発してくれないかしら。

↓マメコバチのストロー↓

 

研究室のメンバーでワイワイと作業するのも楽しいのですがね。

一般の農家さんのために、もう一歩なにかイノベーションが必要な気がします。

マルチと防草シートを敷く

圃場にマルチを敷く年と敷かない年があるのですが、敷かないと草取りが大変です。

マルチを敷くにも労力がかかるので悩ましいのですが、炎天下の中、草取りを何度もやるのはあまりに大変なので今年は敷くことにしました。

しかも、今年は防草シートまで設置しちゃいました。

ダイソーオンラインでシートとピンを大量買いしたので安く済みました。

 

自作のマルチ穴あけ器で植え床を作って、ニンジンを育てる予定です。

温室に置いているプランターにニンジンの種を蒔いておいたのですが、次から次にウリハムシモドキと思われる芋虫が出てきて、芽を食べられまくっています。

毎日、芋虫を見つけてはひねり潰しているのですが、キリがありません。。

苗を育てようとせずに、メインは直播でやることにします。。

農作業!

当研究室では、例年作物を育てています。

その下準備として、堆肥を圃場に撒きました。

農学系の学部としては、こういった活動も重要です。

当研究室は、生物系昆虫学も農学系昆虫学もどちらも取り組みます。

 

寿司

Guoさん、廣田くんと、大学近くにある仁平寿司に行きました。

同じ学科の津田先生にもついてきてもらいました。

最近、健康に気を遣って、肉や油が多いものを少し控えるようにしているので、海の幸を心ゆくまで堪能しました。

 

今年度最後の喜界島

3/26-3/28は、今年度最後の喜界島出張でした。

大学予算締めの年度末なので、手続きがバタつきます。

今回は、D1廣田くんと、新しく研究室に配属になった木曽くんと行ってきました。

 

業務をこなし、次年度の実験計画について思いを馳せました。

さて、弘前から喜界島まで移動時間が非常に長いわけですが、こういう時は書籍や雑誌を読んで過ごすにかぎります。

今回は、日本農薬学会誌vol.50を持参したのですが、結局読み終りませんでした。。

学会50周年記念というのもあり、ボリュームがとても多いのです。

一つ一つの記事に膨大な情報量が含まれていて、非常に勉強になるのと同時に、早く読み終えないとなというタスク感もあります。農水省の法令に関して理解を深めたいです。