11月も喜界島

11/4-7は喜界島に出張していました。

今回は、廣田くんと一緒に用務をおこなってきました。

11/4には、どこの店にいっても食料がほとんど置いていなくて、一体何事だろうと思ったら、どうやら天気が荒れたせいで船が数日間着岸できなかったようです。

島全体が食料不足でした。

11/5にようやく船が来て、食糧不足は解消されました。

しかし、用務に関係する資材が届くのが遅れたせいで、予定通りには進みませんでした。

↓ 出張中は風が強かった

 

今回はどこも宿が満杯で、ようやく予約がとれたのはウィークリーハウスでした。

結構快適でした。

↓ 実験用の新しい秘密基地ができました

今年もカメムシと大雪

ここ数年、カメムシと大雪については毎年の様に問い合わせがあるのですが、

10/30の福井テレビ newsイット!でカメムシと大雪の関係を解説しました。

ネットでも当該放送が見られる様になっています。

 

そもそもこの話題については、地元のテレビ局から問い合わせがあり、「地元の昆虫研究者の責務」として取材に答えたのがきっかけです。

そのうち、全国の降雪地域から問い合わせがあるようになり、そのうちカメムシの生態にまで質問が及ぶ様になりました。

しかし、全国には私よりもカメムシの生態に詳しい研究者は多くいるので、コメントするのもちょっと気が引けます。

取材側も、そんなに専門的なことを知りたいわけではないでしょうけど、取材の前には、私のわかる範囲でのみ、お答えしますよと伝えています。

廣田くん歓迎会

10月から博士課程で廣田くんが加わったので、歓迎会が開催されました。

弘前駅前の焼き鳥屋さんが会場でした。

 

博士課程の学生さんがいると、研究室全体の研究の議論が深まって質が上がるのでとてもよいです。

クサギカメムシ用のベニヤ板設置

本日は、白神自然観察園にクサギカメムシが集まる用の板を設置してきました。

寒くなると板に集合してくれるので、簡単に集めることができます。

とはいえ、もう弘前も寒くなって、だいぶん人家にカメムシが集まってきていました。

実験用に捕まえました。↓

 

カメムシは嫌われがちなので、研究対象として需要がある昆虫の一つです。

安藤先生の出版祝賀会と弘前大昆虫学OB会

弘前大学名誉教授の安藤先生がカマキリの本を出版されたので、少し遅れましたが祝賀会が開催されました。

これは、弘前大学昆虫学研究室のOBの方達が主催のもので、歴代の卒業生・修了生達が集うものです。

私はOBではないのですが、お声をかけていただき、安藤先生と田中誠二さんと一緒に座談会もおこないました。

それにしても、安藤先生が退官されてもう20年経つのですが、出席者52名という、とんでもない出席率で、昆虫学OB会の鉄の結束を感じさせます。

↓ 豪華なメンバーが集結

↓ 安藤先生と奥様

↓ 座談会

 

また、OGであられた北原志乃さんの訃報を悼むコーナーもありました。

弘前大学昆虫学研究室を舞台とした漫画も展示されていました。↓

これには実話が多く散りばめられているそうです。

弘前大学の図書館でもぜひ展示してほしい。。

 

私の代でも、弘前大学昆虫学研究室を発展させていかなければならないなぁと思いました。

時代の逆流に負けず。。

夜に飛ぶイナゴ

先月、西日本に位置するとある自治体の方から、夜間にイナゴが光に集まってきて苦情が来ているため、困っているという相談がありました。

バッタ類が光に集まっている光景はあまりイメージがわかないので、何かの間違いかなぁと思いました。

私もバッタ採りをすることがありますが、昼に近づくと飛翔して逃げますが、夜はじっと草にしがみついている印象です。

温度が高い日中でないと跳ね回ったりしないのだと思います。

 

だから、夜に活動すること自体が起こりそうもないし、そもそも昼行性の昆虫が光に多数集まることはないだろうなと思いました。

*昼行性だからといって、走光性がないとは言えないようですが、光に多数が集まる状況は起こりにくいでしょうね。

 

念の為に、長年イナゴの研究をしていた安藤名誉教授にも話してみましたが、そんなことは起こらないのではないかということでした。

安藤先生は弘前大学の現役時代に、大学の屋上でコバネイナゴの採集をしていたのでした。

その結果、コバネイナゴの長翅型が特定の時期の日中にのみ飛翔しているのを見出しています。

私も何かの間違いかなぁと思ったのでした。

バッタではない別の昆虫をイナゴと間違っているのか、たまたま近くにいたイナゴが数匹光のところに居たとか、まあそういった間違いかなと。

 

先方に写真がないか尋ねたところ、数日後に送られてきました。

確かにイナゴでした。しかも色合いから判断するに、ハネナガイナゴっぽいです。

ライトトラップをよく行っている、弘前大学白神研究室の江口くん(M2)に、イナゴが集まることはあるか聞いてみました。

そんなことはないだろうという確認の意味でです。

しかし、彼は興味深いことを教えてくれました。

それは、新潟県(彼の出身地)では、夜間のコンビニやライトトラップにイナゴが多数集まることがあるとのこと。

これはかなり意外でした。

おそらく、羽化から性成熟する前の限られた時期に起こる分散行動だと思うのですが、概して以下の二つの可能性があるのかなと思いました。

一つ目は、コバネイナゴの分散の時刻に地理的変異があって、弘前では日中に移動するが、南の方では夜に移動する可能性。

二つ目は、ハネナガイナゴの分散時刻は夜であるということ。

どっちなのかなと気になって調べていると、石川県立大の弘中先生のグループが夜に飛ぶイナゴについて論文を出していることに気がつきました。

https://hokuriku-byochu.sakura.ne.jp/apph/files/articles/68/68-3.pdf

ガッツリと生態的に調べられていて、すごいです。

日本語で書かれているので、地元の昆虫好き少年が読めるのもいいですね。

この研究によると、どうやらハネナガイナゴが夜間に分散行動として飛翔しているようです。(石川県のはなし)

 

コバネイナゴは昼に分散し、ハネナガイナゴは夜に分散する特徴を持っていると言えるかもしれないですね。(それをいうには生理学的な実験も必要だとは思いますが)

身近な昆虫ですが、奥深いです。

盛岡と喜界島と名城大の先生方

この投稿欄は私の備忘録を兼ねているので、近況を書き連ねます。

9月の頭は盛岡に出張していました。おそらく盛岡に降り立って活動したのは初めてだと思います。

弘前と比べて、街自体は随分と栄えているように見えました。

岩手大の資料館は歴史を感じさせる素晴らしい資料がたくさんありました。

 

9月9-12日は再び喜界島に出張していました。

今回はクモ類を専門とするB4の学生の三嶋くん(橋本先生の研究室)に同行してもらいました。

大学時代に重要なのは、専門知識を身につけることと、研究経験を多く積み上げることの二つだと思うのですが、三嶋くんは着実に両方実践できているなぁというのが感じられてとてもよかったです。

何か課題がある時に、自分の専門的な見地から何らかの仮説を立て、解決策を生み出すための思索的アイディアが思い浮かぶというのが高等教育を受けた人の社会的価値の一つだと思います。

専門知識や研究経験が浅いと、課題解決にむけた発想すら生み出すことができないですね。どれだけ研究室で頑張ったかで卒業時や修了時に大きな差が生まれているのはよくある光景です。(一般論として)

今回の喜界島出張では、フェロモントラップを設置してみました。(然るべき機関や団体に許可をとっています)

台風で大荒れの天気でしたが、一応ちゃんと捕まりました。

↓ 簡易的なフェロモントラップ

 

9/14は名城大学の本田先生と林先生が研究室に訪問していただいたので、昆虫飼育光景などを案内しつつ、情報交換をしました。

お二人は私と共同研究に取り組んでいただいていて、論文も一緒に出しています。

カロテノイドに関する話や畜産学に関する話など、さまざまなことを教えていただき、大変楽しかったです。

これからも、基礎に関すること、応用に関すること、どちらも頑張っていきたいなぁと思いました。

国際昆虫学会2024

8/25-30で国際昆虫学会に参加してきました。

私はシンポジウムで昆虫カロテノイドの発表をし、修士学生の渡邉君はポスター発表でハラビロカマキリの発表をしました。

英語の発表の時は私も相当準備しますし、それなりに緊張するのですが、驚いたのは小中高校生たちが英語で自分たちの研究成果を説明していたことです。

研究活動に取り組んで成果を得ているだけでも立派なのに、英語で世界に向けて発信するのは本当に素晴らしい。。

また、事前に、発表を聞きにきてくださいと個人的に連絡が数件きて、私はそういったことはしたことがないので尊敬します。

つくば在住の高校生のT君は私も知り合いなのですが、海外の著名な研究者に話しかけ、自分の研究にアドバイスをもらおうと頑張っていました。

将来、とんでもない大物になりそうな気がします。。

 

私自身も、いろんな方と交流できてよかったなという感じです。

それなりに頑張って論文をたくさん書いてきて、それを読んでくださっている方々がいると実感できるだけでも大変嬉しいし光栄です。

台風10号が接近中だったので、学会が大混乱に陥るのでは無いかと心配だったのですが、思ったより影響は少なくよかったです。

↓ 学生時代の後輩の志清さんがいました。なつかしい。

 

↓ 発表の様子。小さめの会場でちょうどよかった。

岩手とトンボ(渡辺修二さんの調査)

岩手県あたりの地域で、かつてトンボの成虫を子供たちが食べていたという話があります。

以前、それに関する取材依頼があり、幼少期を山形で過ごした安藤名誉教授に話を伺いました。

子どもの頃、どういう昆虫を食べていたかや、当時の食べ物に対する空気感などを教えていただきました。

ちなみに、私が生まれ育った福岡県の筑後地方では、私の祖父母の代ですら昆虫を食べていたという話はほとんど聞きません。

食に関しては人間は保守的なので、何を食べるか食べないかの選択はローカルに決められているのだと思います。

まあ、そんなことを考えつつ、個人的な所感などを伝え、その時の取材の件が新聞の記事になりました。

*私はただ一言二言コメントしているだけです。文化としての専門性はありません。すみません。。

共同通信社さんの取材なので、各地方紙に転載される形だと思います。

潔癖の都会暮らしの人は気持ち悪いと思うかもしれませんが、田舎育ちだと自然に受け入れられる話なのではないかなと思います。

堆肥作成の実験中(かぐやひめ)

堆肥作成の比較実験のために、「かぐやひめ」という装置を用いて発酵をモニタリングしています。

 

この装置は、ポンプで下から空気を入れ、断熱構造になっている内部の温度をモニタリングできる仕組みです。

土壌肥料学が専門の青山先生と藤田先生に協力してもらい、「かぐやひめ」を貸してもらって実施しています。

 

「昆虫学と堆肥作成って何か関係あるの?」と思われるかもしれませんが、これが無関係とは言えないのですよ。

まだ内緒ですが、色々とプロジェクトを進めています。

 

学生の頃に、「「虫屋は何でも屋」と昔から言われているように、蚕学以外にいろんな分野をカバーできるようにならんといかん」と先輩から言われた記憶があるのですが(私は養蚕学出身なのです)、最近は業務上、多くの研究領域にまたがって実験するようになっています。

ただこの「虫屋は何でも屋」という格言を聞いたのは、人生でこの時が最初で最期なのですよね。。

本当に一般的な言葉なのかな?