トノサマバッタ幼虫の体色は多様です。

黒っぽいトノサマバッタの幼虫を野外で見つけても、それは群生相のバッタではない可能性が高いです。

それは、周りの色に合わせて孤独相の幼虫が黒い色になっていると考えた方が良いでしょう。

典型的なトノサマバッタ群生相の終齢幼虫は黒と濃いオレンジのツートンカラーです。

以下の写真は集団飼育した群生相終齢幼虫です。

単独で飼育すると以下のような終齢幼虫になります。単独飼育した場合は、緑色になるとは限りません。環境色をはじめとして様々な環境因子に左右されます。

成虫だとこんな感じです。

これらの体色は、コラゾニンと幼若ホルモンの二つのホルモンによって制御されます。

田中誠二博士によって、この二つのホルモンを分泌する量やタイミングによって様々な体色が発現することが実証されました。

https://www.semanticscholar.org/paper/The-role-of-[His7]-corazonin-in-the-control-of-in-Tanaka/1e7d404e457c64e587baf4cce502fafad0577588

 

https://www.researchgate.net/publication/249887822_Corazonin_and_locust_phase_polyphenism

 

従って、トノサマバッタの体色が緑色でなくても、それは遺伝的に変異が生じた訳ではなく、環境に影響された体色である可能性が高い。また、群生相終齢幼虫の体色はツートンカラーである。ということを、知っていただけると嬉しいです。

 

詳しくは、2021年4月に北隆館から出版された、

「バッタの大発生の謎と生態」

をご参照ください。