弘前大学医学健学科 細胞検査士養成課程

平成20年11月弘前大学医学部保健学科に設置することが日本臨床細胞学会から許可され、翌平成21年4月から開講されています。

4年制大学における細胞検査士教育は、杏林大学、北里大学、群馬大学、山口大学、倉敷芸術学大学、神戸常盤大学、九州保健福祉大学、関西医療大学、千葉科学大学、森ノ宮医療大学、京都橘大学、四日市看護医療大学、福島県立医科大学、そして弘前大学の14校で、弘前大学は北東北・北海道唯一の養成機関として期待が寄せられております。

細胞診断は、スクリーニングのみならず記述的判断や質的診断が求められ、より高度で専門的な技術となっています。しかしながら、細胞検査士の数は、定年退職者が新規細胞検査士の数を上回ることにより減少傾向にあります。

また大学における細胞検査士養成程は、医学部保健学科検査技術科学専攻およびすでに臨床検査技師の資格を有して3年次に編入してくる学生を対象に開講されています。

【参考文献】

・渡邉 純:弘前大学大学院保健学研究科での細胞検査士養成課程の取り組み、課題と将来の展望, 臨床検査学教育3(1):11-15,2011

・鷲谷清忠:弘前大学における細胞検査士教育, 細胞検査士会会報vol.50 Oct:22-23,2011

・吉岡治彦, 堀江香代, 渡邉 純. 弘前大学での細胞検査士養成課程の取り組み. 第6期生を迎えて. 臨床検査教育 2017;9 (補刷):63.

・吉岡治彦. 弘前大学医学部保健学科検査技術科学専攻細胞検査士養成課程の歩み. 細胞検査士会創立50周年記念誌. 2018:205-206.

 

細胞検査士とは

細胞検査士cytotechnologistは、病変から採取された細胞をプレパラートに塗抹し、細胞を染色して細胞診標本を作成します。その後、顕微鏡で細胞診標本を観察しながら、がん細胞などの悪性細胞の早期発見、がんの組織型の推定、良性病変の推定、ウイルスや真菌などの感染症、ホルモン状態の推定などをします。最近では悪性腫瘍の予後判定、治療効果判定の補助診断としての役割も担っています。

細胞検査士は、日本臨床細胞学会と日本臨床検査医学会が認定する専門資格をもつ臨床検査技師であり、細胞診断の業務を、医師と役割分担して行う医療職です。日本の多くの細胞検査士は、国際細胞学会における国際細胞検査士International cytotechnologist(IAC)の資格も取得しています。

設置許可・開講

2008年11月設置 2009年4月開講

許可団体

日本臨床細胞学会  日本臨床検査医学会

認可団体所属地

〒101-0062

東京都千代田区神田駿河台2-11-1 駿河台サンライズビル3F

FAX 03-5577-4683

合格率

2012年度 100% 6/6名
2013年度 100% 4/4名
2014年度 80% 4/5名
2015年度 100% 8/8名
2016年度 100% 7/7名
2017年度 100% 8/8名
2018年度 20% 1/5名
2019年度 71.4% 5/7名
2020年度 90% 9/10名
2021年度 83% 5/6名
2022年度100% 8/8名
2023年度100% 9/9名

合計 89.2% 74/83名(2022年10月現在不合格であった9名中、7名は再試験で合格)

 

教員紹介

教授 加藤 哲子(博士 医学)
抱負:細胞診断学、病理学の基礎を系統的に学んだ上で、これからの医療の変化に柔軟に対応していけるような細胞検査士を育成していきたいです。
資格:病理専門医、分子病理専門医、細胞診専門医、Fellowship of International Academy of Cytology(FIAC)、臨床検査専門医
所属学会:日本病理学会、International Academy of Pathology、日本婦人科腫瘍学会、日本婦人科病理学会、日本臨床細胞学会、日本臨床検査医学会

 

准教授 吉岡 治彦 (博士 保健学)
抱負:臨床検査技師、細胞検査士の同時取得のために、みなさんと共にがんばります。細胞診断学、病理組織細胞検査学、人体病理学、演習、実習等の学びを通し、がんの早期発見、早期治療のために貢献できる地域の医療従事者、がん細胞研究者になってください。
資格:臨床検査技師、細胞検査士、国際細胞検査士、電子顕微鏡一般技術認定(生物学)、二級臨床病理技術士(病理学)、特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任、有機溶剤作業主任、認定病理検査技師
所属学会等:日本臨床細胞学会、日本臨床衛生検査技師会、病理技術研究会、日本デジタルパソロジ―研究会

 

准教授 堀江 香代 (博士 医学)
抱負:
臨床検査技師国家試験と細胞検査士試験合格を目標とした教育
はもちろん、細胞診断の場に細胞生物学や分子生物学の知識・技術を応用できるようなCell Scientistsの育成を目指し、研究指導も行っていきたいと考えています。一緒に頑張りましょう。
資格:臨床検査技師、細胞検査士、国際細胞検査士、二級臨床病理技術士(病理学)
所属学会等:日本臨床細胞学会、日本臨床衛生検査技師会

 

助手 上野 大(学士 保健学)
抱負:
“学生のための教育、社会のための研究”を心がけていきます。病理・細胞診のみならず、臨床検査全般を通して社会の役に立つ細胞検査士の育成を目指し、頑張っていきたいと思います。学生の皆さんとともに、私自身も成長できるよう精進してまいります。
資格:臨床検査技師、細胞検査士、国際細胞検査士、認定病理検査技師、二級臨床検査士(病理学)、有機溶剤作業主任、がんゲノム医療コーディネーター
所属学会等:日本臨床衛生検査技師会、日本臨床細胞学会、日本臨床検査同学院、がんゲノム研究会

 

外部講師
病理組織細胞検査学実習    7名
細胞診断学実習  約10名

 

細胞検査士資格試験の概要

【受験資格】

(1)4年制大学で日本臨床細胞学会が認定した細胞検査士養成課程を修了した、大学卒業見込みの者

(2) 臨床検査技師または衛生検査技師の資格を有し、日本臨床細胞学会認定の細胞検査士養成所(癌研究会附属病院付設細胞検査士養成所、東京都多摩がん検診センター細胞検査士養成所、大阪府立成人病センター細胞検査士養成所〉 を卒業した者

(3) 臨床検査技師または衛生検査技師の資格取得後、試験実施日までに主として細胞診検査実務1年以上の経験者

【試験方法】

年1回、1次・2次試験(一次試験合格者のみ)により行われる。

【試験科目】

1次試験(筆記、画像) 2次試験(スクリーニング、同定、実技、面接)

【試験日】

1次11月上旬 2次12月上旬

【全国平均の合格率】

1次試験 約50%

2次試験(一次合格者のみ)約50% (総受験者の約25%)