EL本棚Column: Thoughts on choosing an Extensive Reading Book

(read the English version of this post here)

私が学生だった頃、日本語を様々な方法で勉強していましたが、大体最初から今まで一貫して「多読」をやってきました。そこで今回のブログでは第二言語で読み物を選択することについて個人的な見解を共有したいと思っています。

まず、最も大事なのは読み続けられる本を見つけることです。

多読に関する研究は常に読む「楽しさ」と「読みやすさ」の大切さを中心化します。一方、我々先生が多読用の本を勧める際に「Graded Readers」を取り上げ、主に読みやすさや難易度を説明する癖があります。Graded Readersとはイングリッシュ・ラウンジや図書館にある、難易度(長さ、語彙レベル、文の複雑さ)を示す数字が表紙に表示されている図書のことなのです。一般的に、多読では辞書を引かずにすらすらと読んで内容を80~90%理解すれば適切だとされています。そういう本を探すのにGraded Readersが大いに役に立つでしょう。

ところが、Graded Readersはいわゆる「オーセンティック・テキスト」、つまり母語話者のために書かれた文章ではありません。実際、その多くは有名な話や古典文学が単純に書き換えられたものです。

さて、貴方はそれについてどう感じるのでしょうか?私は日本語を勉強していた頃、Graded Readersがありませんでしたが、教室で簡単化されたテキストを二回ほど使った覚えがあります(漱石の『坊ちゃん』と鴎外の「高瀬舟」でした)。正直に言いますと、それらが原文ではなかったことが後で明かされたら、私は裏切られた、ウソつかれた気持ちになりました。所謂「本物」を読みたかったからです。そのため、おそらく自分は個人的にはGraded Readersに向いていないと考えられます。代わりに、当時私は青空文庫をよく使っていました。自分にとって、オンラインで読む大きな魅力の一つは、知らない漢字をオンライン辞書にコピペできることでした。

ところで、昔のクラスメートが、そして今現在の留学生も、漫画を使って日本語を勉強することがよくあります。しかし、私の場合は、初めて来日した時に興味を持ちそうな漫画は三国志とか時代物であり、言語的にはるかに難しすぎるものだったため、意図的に漫画を読まないことにしました。結局、初めて全巻を読みこんだ漫画は同じく言語的に難しい方の『蟲師』でしたが、すでにアニメ版を視聴していたためほとんどの内容を把握しており、漫画を理解することが大体できました。つまり、このブログで何度も言及してきているlearning what you already know(すでに知っているものを第二言語で勉強しなおす)を自然に行っていました。そこで、好きな映画、邦訳で完読したもの、学校で日本語で学んだ内容などとかかわっている図書を、難易度が少し高くても、学生に勧めることがあります。

最後に言及したい点になりますが、Graded Readersから小説への架け橋についてです。もしオーセンティック・テキストを読みたいがなかなか適切な読み物が見つからない場合は、いわゆる「児童文学」をおすすめします。イングリッシュ・ラウンジの本棚にたくさんの「児童文学」がおいてありますが、私はこのブログであえて「児童文学」という言葉を使わないようにしています。なぜなら、私だったら大学生として「児童文学」だと言われたら絶対読みたい気持ちにならないからです。貴方もそう思いませんか?ところが、自分が中学生、小学生の時に日本語で読んでいた本に出てくる言語の難しさや面白さを思い出してみてください。以外と勉強になりそうなものもあるでしょう。

イングリッシュ・ラウンジが提供している所謂「児童文学」は読み甲斐あるものだと評価しています。その本は考えさせるテーマ、面白い登場人物、展開の不思議なプロット、あるいは少なくともユーモアやアクション場面などを含めているからです。別な観点からすれば、多くの人は宮沢賢治を「児童文学」の作者とするでしょうが、その反面、大人には読む意義がないという人が少ないでしょう。要するに、「児童文学」と言われるだけで拒否せずにオープンマインドで迎えてみてほしいです。私はできるだけイングリッシュ・ラウンジの本棚を読み通しているのですが、まだ一度も大学生にとって価値のない本に遭ったことがありません(そして万が一発見した場合は即時に除籍する!)

では、本ブログの主張を再確認しますと、多読を効率よく行うのに沢山読まなければなりません。そのために読みたい気持ちを作らなければなりません。今回はGraded Readers、Learning what you already know、そしてオーセンティック・テキストとしての児童文学について触れてきました。先生が言うことより、自分の性格と気持ちを知って読み物を選ぶ必要があります。もしかすると貴方にとっては文学というより新聞か科学の教科書の方が適しているかもしれません。以上の段落の目的は、自分の性格や気持ちを探る過程を促すことでした。